誰とも組まなかった日向エマ
「お姉さんに任せなさい」と先輩らしく振る舞う一方で、「エマちゃん」と呼ばせて対等に接してくれる日向エマ。
読書が苦手ではありますが、誰よりも空気が読める切れ者で、他者の心理を見抜く観察力は群を抜いています。それを活かした話題転換の技術も超一流。
メチャウマイダケの話を振る時、みおのオタクトークを止める時、舞花には強引な話題転換に思われても、みおには自然な話題転換に思われるラインを巧く突いてきます。人を見る目が無ければ、絶対に出来ない芸当でしょう。
歌が上手でリズム感も抜群、アイドルとしての実力は申し分なく、大きな欠点は見当たりません。スペックを見る限り、エマと組みたい生徒は沢山いてもおかしくない。
しかし、意外にも3年生になるまでエマはソロで活動していました。アイドルを極める者にしては、やや違和感のある行動に思えます。
ダイヤモンドフレンズがアイドルの花形とされる世界において、どうしてエマはフレンズを結成していなかったのでしょうか。
コミュニケーション能力に秀でていますから、本気を出せば相手は何人も見つけられそうなもの。しかし、現実はそうなりませんでした。
もしかしたらエマは空気を読み過ぎる所為で、フレンズになってみたい相手が別の人に惹かれていた場合は、遠慮して告白が出来ないのかもしれません。
エマ「やっぱみおちゃんでしょ。フレンズを組むなら。実力あるし頼れるしね」
エマがソロで活動する経緯は詳しく語られていないので、あくまで想像の範囲になりますが、個人的にはアイドルとラクロスの二刀流も関係しているのではないかと読み解いています。
二刀流。悪く言えば中途半端に陥りやすいスタイル。フレンズとして輝きたい側からしてみれば、アイドル一本に道を絞らないエマは、積極的に組みたい対象から外れてしまうのかもしれません。
実際のところ、エマはラクロスの試合中に怪我をしたことがあり、パートナーに迷惑を掛ける可能性は捨てきれないでしょう。仮に怪我をしなかったとしても、練習時間が満足に取れなくなることは目に見えています。
パートナーが二刀流を嫌がるであろう未来をエマも予想しているから、今まで他者と距離を置いてフレンズを結成してこなかった。そう考えればエマの行動に筋は通ります。
直ぐ人の側に寄るけれど、単独行動を好んでいるネコと一緒。フレンズとして他者と深く関わらない方が自由で気楽なのでしょう。
エマ「1人でアイカツしてた時は、こんな風に悩んだりしなかったな」
二刀流のエマとフレンズを結成する相手には相応の覚悟が求められます。エマに実力があるから、一緒にいて楽しい人だからという理由だけでは、組んだところで別れてしまうでしょう。
けれども、エマの生き方そのものに惚れている舞花は違います。エマが中途半端な結果を残してしまったとしても、それは二刀流を止めさせる理由に成り得ません。
舞花「エマがエマらしくなくなったら、エマとフレンズを組む意味は無い。こう見えて私、エマのこと凄く気に入ってるの」
舞花の優先事項はフレンズの人気を高めることより、エマにエマらしく生きることです。エマが舞花を大切に想って行動したとしても、それによってエマが妥協する状況になれば、舞花は本気で怒ります。
14話のドレスデザインの打ち合わせで描かれていますが、舞花はエマが無理して人に合わせることを望んでいません。お互い遠慮しないで、ぶつかるくらいがイイ感じ。
舞花「頑張ることが大好きで、何時だって楽しそうに突っ走るエマは、私の憧れだったんだから!」
舞花がここまでエマに入れ込むようになった発端。それは舞花が仕事をモデル一本に絞るように勧められた時、エマがアイドルとモデルの両方を選んでもいいと教えたシーンにあります。
舞花にとってエマは「得意とか不得意は後から考えて、今感じてるトキメキの気持ちシェア」してくれた恩人でした。
エマの言葉に勇気を貰えたおかげで、舞花は自分の心に従って「こんな等身大好きな服で誇らしく踊ろう」と楽しくアイカツが出来ています。
対等に渡り合えるパートナー
さて、舞花にとってのエマが大切な存在であることは述べてきましたが、エマにとっての舞花にも同じ事が言えます。
孤独に活動していたエマが2年以上も待ち望み、漸く巡り会えた大切なパートナー。舞花は触れたら壊してしまいそうなウサギではなく、自分を限界まで燃やし尽くし、格上にも全力で襲い掛かる猛獣。
そんな人であるから、普段は空気を読んでしまうエマも、舞花には本気でぶつかっていける。エマが声を掛けた下級生は沢山いるでしょうが、その中で「エマ」と呼び捨てにしてくるのは舞花くらいのものでしょう。その点を見ても舞花は掛け替えない特別な存在なんですよね。
舞花「まあ誰と組むにしてもエマのフレンズには絶対に負けないから」
エマ「私だって舞花のフレンズには絶対に負けない」
ライバルでフレンズのエマと舞花。パートナーの力を心の底から信じているハニーキャットは、ラブミーティアの求めるフレンズの在り方に最も近く、だからこそピュアパレットの一歩先を進んで行けました。2人がフレンズになって、本当に良かったと思います。