セリフ検索から見えてくる「アイカツ」の世界
バンダイチャンネルに追加されたセリフ検索(ベータ版)は、検索したワードが使われた話数と時間を表示する便利機能であり、有料会員の場合はワードが使われるシーンから直ぐ様に再生可能。嬉しい事に「アイカツ」にも対応していたので、早速この機能を用いて遊んでみました。
トップアイドルも努力を怠らない
トップアイドルの神崎美月。何も知らない人の目には、彼女が天才に見えることでしょう。最初はいちごもあおいも美月を天才であると思い込んでいましたが、本当は人一倍努力していた事実が3話で明かされてからは、両名とも美月に対して天才という言葉を使わなくなります。
「アイカツ」は才能よりも努力の世界。アイドルが輝いて見えるとしたら、それは才能に恵まれていたからではなく、才能を磨いていく努力を怠らなかったおかげ。スポーツ漫画で見かける様な天才キャラと呼ばれるアイドルは1人もいません。
努力が重視される作風を証明するように全178話を通して「努力」は41回も使われているのに対して、「天才」は15回しか使われておらず、3話以降では下に書いた5回しかありませんでした。
蘭「きっと星宮は天才…じゃなくて天然」第5話
あおい「一気に天才子役の仲間入りを果たした期待の新星」第14話
らいち「美月様の振り付けを全部担当している天才!」第18話
天羽先生「あなたは生まれた時から笑顔の天才だった」第133話
まどか「天才タイプだっておばあちゃんが言ってました」第170話
セリフ検索によると「天才」と称されているのは美月、しおん、ジョニー先生、まどか、瀬名の5名。
基本的に「天才」という言葉を避けている本作において、天羽先生から「天才タイプ」と評価を受ける瀬名さんは割と凄い人なのかもしれません。
ちなみに作中で「才能」に関して高評価を受けている人物はいちご、りんご、そら、セイラ、きい、瀬名、天羽先生の7名でした。大切な友達を輝かせる才能を持ったきいが、孤独に輝いていた美月に褒められる姿は良いですね。
織姫学園長「かすかに才能を感じるの 人を惹き付ける天性の」第13話
りんご「あすかさんにあなたは才能があるって言われたの」第48話
きい「デザイナーとしても素晴らしい才能の持ち主!だって!」第62話
織姫学園長「あんな才能を一体どこで見つけたの?」第65話
美月「人の魅力を引き出せるのって素晴らしい才能だと思う」第66話
ひなき「すごく若いけど才能があるって評判なんだ」第106話
瀬名「それは天羽先生自身の才能はもちろん」第167話
容姿が優れたアイドルは一体誰なのか
美少女だらけのアイドルの中で特に美しいとされている蘭とスミレ。この2人だけは作中で「美人」と褒められています。
美人として扱われる頻度は蘭よりスミレが上らしく、小さな女の子と大人の女性の両方から「綺麗」と言われています。
あおい「子役は美人にならない説を打ち破り」第5話
ユウ「すっごく美人なの」第102話
あかり「ああ…す すっごい美人だなと思いまして」第102話
蘭の方は単純に容姿を褒められることよりも、ストイックな生き方を含めて「かっこいい」と褒められることの方が多いですね。さて、これで顔が良いアイドルは分かりましたので、次にスタイルが良いアイドルを調べてみましょう。
まどか「紅林先輩はスタイルがいいから浴衣もばっちりはまってます」第145話
中屋「紅林珠璃ちゃん やっぱりスタイル抜群ですねーっ!」第163話
セリフ検索で「セクシー」と褒められているアイドルには蘭とヒカリがいますが、意外にも「スタイル」を褒められているアイドルは紅林珠璃だけでした。
珠璃のやりたいことは女優の仕事ではありますが、周囲の反応を見る限りモデルとしても大活躍する素質は持っていそうです。
生徒の成長を誇らしく思うジョニー先生
5話から35話まで合わせて10回、ジョニー先生が自分を褒める時に用いていた「グッジョブ俺」。序盤の「グッジョブ」は冗談っぽく自分に向けているだけでしたが、心境の変化があったらしく39話の「グッジョブ」以降は全て他の人に向けるようになります。
ジョニー「グッジョブ!ソレイユ!握手会は大盛況です Yeah!」第39話
ジョニー「グッジョブ!スターアニス!」第43話
ジョニー「グッジョブ!頑張ったなあかりハニー!」第96話
自分を褒める「グッジョブ」から、生徒の成長を喜ぶ「グッジョブ」へ。2年目から口癖の「グッジョブ俺」が全く使われなくなってしまったことは寂しいですけれど、生徒の成長を見守る教師へと変わりゆくジョニー先生も素敵だと思います。
やっぱり芸能人はカードが命
「芸能人はカードが命」はアイドルが絶対に忘れてはならない基本中の基本。この言葉は冒頭のナレーションを除くと1話、2話、26話、48話、51話、77話、102話、107話、127話、153話で使われています。
使用頻度は話数を見れば分かる通り、どれも2クールが経過する前後の物語が大きく変わるタイミング。1話と51話のアイカツ格言にも登場しています。
あかり「芸能人はカードが命」第102話
織姫学園長「芸能人はカードが命 それを使って頑張りなさい」第127話
リサ「聞いたことがあります 芸能人はカードが命なんだって」第153話
当たり前すぎて語られることの少ない「芸能人はカードが命」。世の中には途中から作品に触れた人や初心を忘れそうになる人もいるので、この様に区切の良い所で作品の基本に立ち返る姿勢は素晴らしいと思います。きっと気が付いていないだけで、こういった工夫は沢山ありそうですね。
カッコよくない姿も晒す紫吹蘭
「苦手」という言葉が使用された回数は24回。その内の6回は吸血鬼の弱点に関する話、5回は蘭に関する話でした。
蘭が魚の骨を取るのが苦手であるといった残念な一面が多く語られるのは、彼女が何でもこなせそうなカッコいい女性だからなのでしょう。
蘭「あたしもアドリブ苦手」第14話
あおい「蘭は魚の骨を取るのが苦手なのよね~」第41話
蘭「正直あれ…苦手なんだよな」第74話
あかり「私 歌もダンスも苦手だから」第80話
みやび「文字を打つのが苦手なんだ」第119話
凛「あー歌のレッスンってやっぱ苦手だあ」第130話
スミレ「実は以前は生のお魚って苦手だったんですけど」第144話
完璧に思えるキャラにわざと隙を与えて、視聴者に親近感を抱かさせるテクニック。蘭、みやび、凛などのカッコいいタイプにそういう話が多い訳は、その点を意識しているのかもしれません。
大空あかりは諦めない
歌もダンスも苦手でアイドルの才能に恵まれていない大空あかり。そんな彼女がスターライトクイーンに選ばれた理由は、最後まで諦めることなく一生懸命に努力してきたからでした。それがあかりの最大の長所であり、セリフにもはっきりと表れていました。
あかり「でも! 諦められなくて今日も参加しました!」第76話
珠璃「諦めずにとにかくやってみるって凄いと思う」第115話
子陽「あかりは諦め悪いものね」第115話
学「諦めずによく頑張ったなあかり」第126話
織姫学園長「諦めなければ二度目三度目の挑戦で扉を開くことがある」第177話
ジョニー先生「あかりハニーはきっと最後まで諦めないぜ」第178話
瀬名「あいつ諦めが悪いからな」第178話
ご覧の通り、あかりをよく知る人は口を揃えるように同一の評価をしています。蘭の様に経験が豊富なアイドルは状況を適切に判断して諦めることもしますが、そこまで器用な真似が出来ないあかりは何事も諦めずに取り組むんですよね。
そして、その行動は彼女を成長させるだけで終わらず、スミレに珠璃につばきと周囲の人達の前に進む力になっていました。圧倒的な実力で人々を魅了する美月と違い、頑張っている姿を見せて人々に元気を与えるあかり。
珠璃「それでもめげずに頑張ろうと思った」第115話
スミレ「前までの私なら諦めてしまったと思う」第130話
つばき「でも大丈夫。諦めたりしません」第160話
直接的に語られている訳ではありませんが、きっと瀬名も影響を受けていたのでしょう。天才タイプでデザインにあまり悩んでこなかった瀬名が、あかりの為に一度は完成していたドレスを時間を掛けて作り直した事にそれを感じます。
瀬名「スターライトクイーンカップまでにあいつが成長しても大丈夫なもっとスケールのデカいドレス作らなきゃ駄目だって。やんなきゃな。まだまだ」第167話
魅力的なキャラを生み出すセリフの積み重ね
視聴者に努力型と評価されることがある大空あかり。そんな風に思われているのは、取って付けた様な表面的な設定だけではなく、彼女の努力が伝わる描写が何度もされているおかげ。彼女の魅力をセリフ検索は改めて教えてくれました。
今回の記事ではセリフ検索で「アイカツ」の気になっていた点を調べたのですが、結果を述べると思っていた以上に作品の見方を広げることが叶いました。ありがとうバンダイチャンネル。
明日はアイカツスターズ感謝祭の配信も行われますし、本当に役に立ってくれていますね。この調子で日本語字幕&セリフ検索が「アイカツスターズ」と「アイカツフレンズ」に対応してくれるとありがたいので、ここはどうかひとつ宜しくお願いします。