アニメごろごろ

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アイカツらしくない物語を描いた「アイカツスターズ」の魅力

アイカツ!」とは異なる点も多い為、放送当時は受け入れられない前作のファンも少なくなかった「アイカツスターズ!」。
今年で10周年を迎えるアイカツシリーズの中では特に尖っており、「アイカツ!」に対するカウンター的作品であったと思います。

 

綺麗なものだけ見るんじゃなくて

アイカツ!」では品行方正な良い子が多く描かれることがあり、人間関係のいざこざが起きないといったストレスの溜まらない話が魅力として挙げられていました。

ところが「アイカツスターズ!」では主人公がネガティブ思考で落ち込む、ライバルが入学初日から遅刻しても反省しない、同級生から冷ややかな言葉を浴びせられる話が序盤から描かれます。

穏やかではない展開に「アイカツらしくない」と否定的に受け取る方もいますが、こうしたアイカツらしさが薄いからこそ他作品では伝えられないメッセージが描けたと思います。

 

良い子ばかりではなく努力しても報われない姿が繰り返し描かれる「アイカツスターズ!」は、前作より厳しいと評されることもありますが、良い子以外も世界に存在していいという意味では優しいとも言えます。

上で述べた遅刻しても反省しないローラのエピソードも今になって思えば、そのことを表していたと思います。

アンナ「初日から遅刻だなんて中々やってくれんじゃん。まあそれもディスイズザ個性。オーケーベイビー今回は大目に見てあげる。」

遅刻も個性として一度は許してしまう。この話は要するに世間的には欠点や失態でも視点を変えれば、その人の持ち味であるということなんですよね。完璧であることを必ずしも求められる訳ではありません。

本作品にはそうした人を受け入れる優しさがあり、小春が変わり者のあこに向ける「あこちゃんかわいい」も同じ話で語れます。好きな人のことになると冷静な態度を取れない未熟な精神も人によってはかわいく映る。

エルザも物語を通して性格が丸くところもありますが、強気な態度は最後まで変わることはありませんでした。彼女を慕うレイもファンを第一には考えないというそれまでのアイドルの在り方を見せつけ貫きました。それが彼女達の個性。

エルザ「これからも輝き続けなさい。強く決して誰にも負けないように。いつか私があなたを倒す日まで。」

この多様性を許容する作風のおかげで個性の幅は前作より広がっていたと思いますし、それによって心を救われたファンも少なからずいることでしょう。

大人気の前作から大きく舵を切ったことにより、切り捨てることになった層も確かにいますが、前作が取り零していた層に深く刺さることになりました。

放送当時は評価が難しくはありましたが、放送終了してから感謝祭が開催され、更には5周年を祝われていることを思えば、偉大な前作の後を継ぐプレッシャーに圧し潰されることなく挑戦したスタッフの選択は正しかったように思います。

 

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