アイカツシリーズでトップクラスの人気を維持するユリカ様。ゴスロリや吸血鬼という強烈な個性が人を惹き付けている面はありますが、ここまで長く愛されている理由はそれだけではなく、強い女の子であろうとする生き方にあると思います。
本気で演じるカッコよさ
自分で考えたキャラクターを演じる。そうした人物は「アイカツ」のユリカ様以外にも岡部倫太郎、小鳥遊六花、黒猫、安部菜々、矢澤にこと数多く生まれてきました。
彼等は非常に魅力的ではあるのですが、彼等が演じる中二病的なキャラや可愛らしいキャラについては、滑稽で痛々しいものとして描かれる場面が少なくありません。
そのコミカルな様子は親しみやすさに繋がるので、必ずしも悪い事ではないのですが、本人が真剣に演じるキャラが世間から小馬鹿にされる空気に多少の違和感を抱いていました。
もっと登場人物や視聴者から称賛されてもいいのではないか。そんな時に出会ったユリカ様は、最初から最後までクールでカッコいい存在として描かれていました。
ユリカ様の吸血鬼キャラは一般人のみならずアイドルにも愛されており、本気で演じる姿はトップアイドルの美月にも認められる程。彼女を嗤うような人間は描かれず、茶化せるのは最高のパートナーであるかえでくらいなものでした。
かえで「ステージのみんながキラキラしててユリカはちょっと浮いてた」
ユリカ「なーんですってー!」
ちなみに吸血鬼の印象が強い為に薄れがちですが、アイドルとしての能力も極めて高く、初登場時におけるオーラ発生時間はわずか15秒。1年目のステージではトップクラスであり、あのマスカレードより上になります。
この記録を出したことはユリカ様が相当な実力者であること、そしてロリゴシックと相性が抜群に良いことを表していると思います。
さて、そんなカッコいいユリカ様ではありますが、元々の性格はこの系統によくある内気な弱い子なんですよね。但し、その事を周囲に隠して強く振る舞おうとする意志を持っていました。
そこがユリカ様の魅力の一つ。持ち曲ではありませんが、「Growing for a dream」を聴くと彼女の覚悟がより美しく見えると思います。
Growing for a dream
「一番かわいい子にはなれない あの子は今日もSo cute」
「だけど…誰だって きっと…弱い自分 隠しながら生きている」
「Precious time 手を繋げば伝わるから In our dreams」
偽物は本物より価値がある
吸血鬼という仮面で軟弱な自分を隠し、自信に満ちた華やかな自分を演出する。そのキャラを演じる行為は現実逃避に用いられることもありますが、ユリカ様の場合は違います。
最初の動機がどうであれ、吸血鬼キャラを楽しんでくれたファンの期待に応える為に己を磨き、ロリゴシックのドレスで輝きたいという意志が彼女にはありました。
最初に演じた「ユリカ様」は鏡に映らないような偽物だったとしても、理想の自分を永遠に追い続けていれば、いつかきっと偽物は本物へと変わる。そうやって一歩ずつ前に進むことで、はりぼての作り物ではない強い心を手に入れました。そこがユリカ様の最も凄いところだと思っています。
ユリカ「新しいファンは知らないんだ。弱かった私の事、強さに憧れてた頃の私を。」
ユリカ「もしも今とは違う自分になりたいなら、まずは少しだけ自分を変えてみるの。いつもより10分早起きするとか。」
ユリカからユリカ様へ
ユリカ様の物語の総決算と呼べる89話。この回では普段の姿から吸血鬼の姿へ変わる様をファンのちまきに見せることになります。
カールにする為に髪を触りながら、ステージの裏に姿を消す。この髪型を変えようとするさりげない過程の動作が描き加えられることによって、吸血鬼のユリカ様という存在が魔法の様に忽然と現れるものではなく、髪を下ろした眼鏡の女の子と同一の繋がっている存在であることが伝わります。
こうした配慮は脚本にも感じられ、眼鏡姿に動揺するちまきに対してユリカ様は「これが本当の私」ではなく「これが普段の私」と語ります。恐らく彼女にとって吸血鬼キャラは、本当か嘘かという全く異なる存在に分けられないのでしょう。既に藤堂ユリカを構成する血肉、その様に言えるのではないかと思います。
たとえ主人公になれないような平凡な女の子であったとしても、憧れ、考え、動き続けることで人の心を惑わす吸血鬼のような存在に変わっていけることを子供達に示したユリカ様。そんな風に勇気を与えてくれる強くて優しい彼女の事を私は応援しています。
織姫学園長「あなたは間違いなく唯一無二のアイドルよ。」
ユリカ「ありがとうございます。」