アニメごろごろ

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「アイカツ」神崎美月の不自由な人生と新たな夢

トップアイドルの神崎美月。主人公達に尊敬される先輩ではありますが、スターライト学園を去るなどの予期せぬ行動で周囲を振り回してしまうトリックスターの側面もある人物。

根が真面目ではあるので表と裏で騙したままで戦ったりはしませんでしたが、織姫学園長と別の道を歩んでスターライト学園の地位を危うくしていました。

ユリカ「最近のスターライト学園の元気の無さと言ったら、真夏の海岸線を歩くヴァンパイア並みなんだから。」

何故、大恩ある織姫学園長とスターライト学園に対して、あのような大胆な行動を取っていたのか。その根底にあるのは作中で語られていたようにアイカツを盛り上げたいという使命感。そしてもう一つが生き急いでしまう彼女の性分にあると考えています。

 

いつでもアツく全力疾走

いちごが普通の小学生としてのびのびと育っていた頃、雑誌でモデルをしていた美月は早くも人生に悩んでいました。デビューしてからまだ1年が経つかどうかであり、これから売れっ子になることが容易に予想されるにも関わらず、その先の人生を考えて生きています。そこまでする人は今時の新卒でも中々いないでしょう。

美月「私悩んでいたの。この先自分はどうなるんだろう、どうすればいいんだろって。芸能活動を辞めようと思ったこともあるわ。」

このような判断が早い傾向が彼女にあることを前提に考えるとスターライト学園を辞めたことも納得が出来ます。

織姫学園長が美月に語っていましたが、トライスターの活動の予定は数年先まで決まっていた為、仮に辞めていなければ数年間は拘束されていたことでしょう。織姫学園長の指示に従っていれば、長く待ち望んでいたユニット活動は順風満帆であったと思います。

但し、その場合は美月はティアラ学園長に手を貸す暇が無く、ドリームアカデミーはスターライト学園と共に競い高め合えない程度の学校で止まっていた可能性があります。
ライバルがいなければアイカツを盛り上げるチャンスが何年先に延びていたのかは分かりません。

美月「スターライト学園は伝統ある学校。だからこそライバル校の存在がシゲキとなり、より素晴らしいアイドル学校になると思ったの。」

トライスター、スターアニスの経験を通して後輩をもっと上手に導けたのではないかと思案していた美月にとっては、スターライト学園で一人のアイドルとして自分が輝くことより、アイドル全体の力を上げるドリアカへの協力が優先すべき事柄であったのだと思います。

やるべきことがあれば即行動。そうした勤勉な性格はオフの日の予定にも表れているようで、劇場版で美月は短時間で幾つものやりたいことを消化しています。これからアイドルを引退して暇を持て余すであろう人には見えません。

全速力で駆け抜ける。そのおかげで結果を誰より出し続けてこられたのでしょうが、その為に若くして夢を叶えて燃え尽きてしまいます。上で述べた美月の難儀な生き方、それを変えた人物が夏樹みくると星宮いちごであったと思います。

 

夢は尽きない

みくるの物語上の役割。その一つは新たな夢を持つことのワクワクを伝えることであり、彼女自身はガーデニストとアイドルの両方の夢を追いかけました。この生き方は作中では特殊な部類と言えるでしょう。

本作品は夢を叶える為に他を切り捨てがちなスポ根漫画の金字塔「エースをねらえ」を参考に作った為か、優先順位を決めてしまう傾向があり、りんごはアイドルより弁当屋、美月はモデルよりアイドル、しおんはアイドルより女優を選んで生きていますが、みくるにはそうした意識が希薄です。

彼女はWMを解散してガーデニスト世界チャンピオンになっても終わりではなく、そこからまたアイドルとして復帰して美月に挑戦する夢を持っています。

一つを極める為に他を諦めたりはせず、叶えたい夢があれば好きなだけ叶えてもいい。そうした自由な発想はみくるからいちごとセイラへと伝わり広がっていきます。

いちご「トゥインクルスターカップが今の私にとってのゴールだと思ってましたけど、ゴールの先には新しいスタートがあるんです!」

トゥインクルスターカップでいちごは目標が沢山あることを語り、その言葉を聞いた美月は驚いたような表情を見せます。

マスカレードを超える為にひたむきに取り組んできた美月にとっては、トゥインクルスターカップが人生の最高潮であったでしょうし、それだけに未来にもまだまだやりたいことがあるという話は思いも寄らないことであったのでしょう。

夢を叶えた美月の頭の中に残されていたことは、トップアイドルの座を奪われて美しく去ること。体力的に全盛期を過ぎたおばあちゃんになってもソレイユを続けたいと願ういちごとは価値感が異なります。

しかし、美月の価値感は大スター宮いちごまつりで覆されます。アイカツの新しい時代を目の当たりにすることを怖がっていた彼女は、自分に憧れた後輩の恋の歌を聴いてアイドルとして再び歩く勇気を貰います。

美月「自由だった自分を思い出した。どんな夢でも描けた自分を。」

もしかしたらマスカレードのように美しく輝いたまま辞めた方が良かったと数年後に世間に言われるかも知れません。それでも美月はバトンを次世代に渡しても足を止めず、共に走っていく道を選びました。

そしてアイドルを続けた美月は自ら終わらせてしまったトライスターを再始動させ、「フォトカツ」ではユニットドレスやエンカツカードに負けない大きなドレスを作る夢を見る。その心境の変化は歌唱担当の手で書かれた詩においても感じ取れると思います。

SHINERS
「飛び込んでみなくちゃ夢は尽きないShiners」

本作品はトップアイドルに憧れた主人公が頂点へ登り詰める努力と成長の物語ですが、同時に頂点に立ち続ける孤独なトップアイドルの苦悩を描いた物語でした。いちごと美月の関係は片方が影響を与えるものではなく、双方向に影響を与えて変わり続けます。

美月は主人公の乗り越えるだけの壁ではなく、もう一人の主人公と呼んでいい程の存在感を放っており、彼女の存在が物語の深みを与えていたと思います。

 

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