アニメごろごろ

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卓越したセンスを持つ石浜真史さんの描き下ろしPVを見よ

東京レイヴンズ」のトリビュートアルバムには石浜真史さんが描き下ろした「Autonomy」のアニメーションPVが収録されています。アルバムの為にそんなものを新たに作るなんて信じられません。OPと比較すると細部まで描き込まずに影の付け方も簡略化してありますが、そんな細かい事はどうでもいいと思わせるだけの美しい映像。

これが3千円程度しかしないというのだから、かなりのお得感がありますね。石浜さんは本当に素晴らしいアニメーターですから、新作映像が見られるなら3万円だろうと躊躇わず購入する自信があります。これみたいなアニメーションPVがもう少し増えると個人的には嬉しいですね。


映像のコンセプトは水中と夏目の死。PVでは水中に沈む東京の街が描かれていますが、これは石浜さんがBombay Bicycle Clubの「Luna」のPVに影響されただけで、作品と関係するような深い意味は込められてはいません。ちなみにそのPVはシンクロナイズドスイミングを撮影したもので、石浜さんのPVとは水中を舞台にした事以外は殆んど共通点は見当たらないですね。


東京レイヴンズ」は夏目が物語の途中で命を落としますが、それを暗示するかのように映像には流血や髑髏が描かれ不吉さを感じさせます。この他にも夏目が水中で息が出来ずに苦しむ場面や炎となり春虎の目の前から消えてしまう場面があります。そして夏目が消えた後はその悲しみに打ち拉がれる春虎の心境を反映するかのように大雨が降ります。


東京レイヴンズ」の象徴と言える鴉が最初は夏目と春虎を示す2羽しかいませんが、仲間が登場する度に電線に止まる鴉の数も増えていきます。石浜さんはこうした暗喩的な表現等を用いながら、作品の雰囲気に合わせた映像を作るのは得意みたいですね。それにしてもPVにこれだけのものを作れる余裕というか環境があるなら、2クール目のOPはどうしてあのような使い回しだらけの映像になったんですかね。

石浜さんの手掛けた「Aチャンネル」や「ヤマノススメ」のOPを見ていると、作画の枚数や描き込みの量だけが映像の美しさを決めるのではないという事を思い知らされます。有名なアニメーターですから見ている方も多いと思いますが、石浜さんが演出を担当したOPとEDはどれも素晴らしいので視聴する事をお勧めします。