アニメごろごろ

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「落第騎士の英雄譚」のアニメに対する評価が上がりつつある

落第騎士の英雄譚」は「学戦都市アスタリスク」と併せてライトノベルにありがちな展開に設定と言われて批判に晒されていましたが、じわじわとその面白さが伝わり始めて好印象を持つ視聴者も増えてきたみたいです。三話にあるテロリストとの戦闘描写で惹き込まれたという意見はそこそこ多かったように思います。

さすが熱い戦闘に定評のある「プリズマ☆イリヤ」を手掛けた大沼心監督とSILVERLINKが制作しているだけの事はありますね。キービジュアルを見た時から期待出来ると思っていましたが、その期待を裏切らないものが見れてとても嬉しいです。「プリズマ☆イリヤ」は魔法のエフェクトと戦闘時のカメラワークに非常に力が入れられていて、アニメならではの魅力がありますから原作読者にもお勧め。

「プリズマ☆イリヤ」のスタッフは戦闘の構図までも原作に忠実に作れば視聴者は満足するだろうなんて甘い考えは持たず、アニメオリジナルの描写をがんがん入れてきて、二期のクロVS美遊とバゼットVSオーギュストではCGを用いて背景を三次元的に動かしたりと、そこらのアニメでは見られない演出ありますから戦闘が大好きな方なら是非とも見て下さい。

落第騎士の英雄譚」の作画がこのままで維持されれば大満足なんですけど、SILVERLINKは「対魔導学園35試験小隊」に「俺がお嬢様学校に庶民サンプルとして拉致られた件」までもやっているから不安があります。同時期に四作品もやった所為で酷い作品を生んだディオメディアみたいな事にならないといいのですが。まあそんな心配をしても意味は有りませんし、中身の方に話を移したいと思います。

アニメはOPに登場するキャラとこれまでの展開の速さから察するに、原作小説三巻までを映像化するみたいですね。原作小説一巻に四話も費やしているので削られる部分は少ない方ですが、それでも原作を読んでいると物足りなさは感じてしまいます。映画館に「私は妹に恋をした ※R15」や「男達の失楽園 ※R15」を観に行こうとするといったコメディシーンは大幅に減らされていますしね。

留年している癖に女子にちやほやされているのを妬んで絡んできたクラスメイトを封殺する、一輝はハンデありとはいえ元世界ランキング三位の世界時計と呼ばれる理事長にも勝利したとステラが聞かされる、ステラは努力して強過ぎる能力を制御出来るまでに何度も大火傷していた等々、漫画では描かれているんですけどアニメではカットされました。アニメだけでは伐刀者を育成する意味なんかあるのか理解出来ない方が大勢いると思いますが、伐刀者は最高位だと時の流れを意のままに操ると聞けば育成する価値があると納得して頂けると思います。ちなみに漫画は原作小説一巻にあたる部分が期間限定でガンガンオンラインに再掲されています。

落第騎士の英雄譚《キャバルリィ》 | ガンガンONLINE | SQUARE ENIX

アニメでは作品の柱となる一輝とステラの関係を丁寧に描いている代わりに、アリスや珠雫の出番が減らされていたのが個人的には少々残念。具体的には珠雫がアリスを遊びに誘うのはアリスの優しさに甘えてばかりいると悪いから自分も何かをしてあげたいと考えたからとか、傷付けられる事に慣れて我慢して何もかもを許容する一輝の心の歪さをアリスが指摘するとかいい場面があるんですけどね。

何だか否定的な意見ばかり書いてきましたが、どうでもいいクラスメイトを倒す展開を省略したりと取捨選択は優れていると思います。重要度の低い戦闘を減らしたおかげで作画労力を他に割けるようになり、原作に存在しないテロリストの銃弾を避ける描写を追加する余裕が生まれる。テロリストのリーダーを仕留めた一輝が一刀修羅の反動で倒れたのも良改変。原作通りに事件が解決して緊張が解けるまで立ち続けていると視聴者から一刀修羅を発動しても意外と元気なのかと思われるかもしれませんから。

あそこの戦いを何度か見返していて気付いたんですが、設定にあるように一分で一刀修羅が解けているんですね。壁蹴りして接近するところからステラに駆け寄るところまでで一分が経過して能力が解かれます。「ジョジョの奇妙な冒険」のザ・ワールドとか制限時間がある能力は設定上それが存在しているだけで、演出上では台詞を入れる際に都合が悪いから制限時間なんて無視されますが、この作品では最終回までそうした見せ方はせずにやりきるかもしれません。

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それにしても考えれば考える程に「落第騎士の英雄譚」は恵まれているなと実感しますね。男達の熱い戦いを描いた傑作「スクライド」で有名な酒井ミキオさんをOPに起用するなんて普通なら考えられない判断だと思います。ライトノベル原作となると九分九厘女性歌手が選ばれていますし、00年代に活躍された酒井さんは業界が今売りたい歌手ではありません。そんな状況にありながら「スクライド」の酒井ミキオさんをわざわざ起用したのは、作品の魅力を引き出すには酒井さんの歌声でなければならないとスタッフが感じたからだと思います。

一輝の傷付きながらも高みを目指して戦い続ける姿が魅力の「落第騎士の英雄譚」のOPを担当するのが酒井さんというのはこれ以上ない人選。この作品はステラのエロも魅力ではありますが、バトルもそれに負けない魅力を持っています。正直に言うと斬新な設定はそんなには見られないのですが、能力を用いた戦闘に関してはしっかりと考えられているんですよね。

例えば試合場には照明があるわけですが、そこでは影を操るアリスの能力は十全に発揮されません。桐原は姿を隠せる強力な能力を持ちますが、狭い試合場では相手に広範囲攻撃をされると強みを活かせません。逆に一輝の能力は戦場と異なり伏兵のいない命の奪い合いもない試合であれば、使用した代償に気絶してもそんなに困らないから安心して使えます。こうした置かれた状況により強い奴と弱い奴が変わるのは面白いですね。

話は逸れますが海空りく先生は「落第騎士の英雄譚」がアニメ化決定してから忙しいはずなのに「アルティメットアンチヒーロー」に「超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです!」を出しているあたり結構速筆なんですかね。

「落第騎士の英雄譚」と「学戦都市アスタリスク」の展開が似ている理由を考える - アニメ見ながらごろごろしたい

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