アニメごろごろ

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「魔法科高校の劣等生」は「俺妹」を超えられるのか

最新刊では達也が深雪と結婚させられる方向に物語が動き始めましたね。まさかこの様な展開になると誰が予想したでしょうか。兄妹が恋愛感情を抱き結婚するなんてのは、常識的に考えたら否定されなければなりません。「俺妹」はそうした世間の常識という圧力に屈して最後は普通の兄妹として生きる道を選びましたが、「魔法科高校の劣等生」はそんな常識を打ち破り結婚までいけそうなので楽しみです。兄妹とか血の繋がりが濃い者同士の生殖は遺伝子の関係から色々と問題が起き易いですが、その問題さえ解決出来るのであれば結婚でも何でもすればいいと思います。大切なのは当事者の意思ですからね。

達也と深雪の場合はそれは何とか出来るみたいなので、結婚したいなら世間の常識なんかは無視しても構わない。そもそも「魔法科高校の劣等生」は既存の価値基準では劣等生扱いされる有能なキャラが実力でそれらの評価を覆す作品なんですから、達也と深雪の結婚に関しても既存の価値観に縛られずに結果を出して周囲の意見を変えて認めさせる方が「魔法科高校の劣等生」らしいと言えます。

兄妹が結婚するという話を聞けば倫理的に問題があるから駄目だと言い出す読者は必ず現れてしまいますが、大量虐殺をしてきた達也にそれを言うのは今更感がありますよね。倫理的に善い悪いかでしか物事を評価出来ないとしたら、この作品の面白さは大幅に損なわれてしまいます。固定観念に囚われていると作中で達也の実力を否定する連中みたいに目が曇り、作品に対しても正当な評価が下せなくなるので注意が必要ですね。

伊藤計劃先生の「ハーモニー」の様に読者には理解出来ない価値観が世界を支配するのはSFでは日常茶飯事ですし、そうした視点から見れば達也と深雪が結婚するのはむしろ自然な展開と言ってもいいと思うのですがどうでしょうか。実際に結婚するのかは媒体による制限だとか作者が書きたいものにもよりますから、最終的に達也と深雪の関係がどうなるかはまだ読めないですけど、個人的には結婚して「俺妹」が辿り着けずに終えたものを見せて欲しい。ライトノベルではそうした展開は常識的に考えたら無理ですけど、この作品ならそんなつまらない常識を覆せるかもしれません。

ハーモニー〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA)

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ところで話は変わりますが、深雪が世界的なトップモデルも裸足で逃げ出すような美貌の持ち主であるのにはきちんとした理由があったんですね。あんな風に美容整形なんて比較にならない規模で肉体を調整されているのであれば、老若男女問わず魅了する容姿を持つのにも説得力が生まれます。ヒロインが美少女なのは物語ではお約束ですけど、深雪の容姿に関する描写はどう考えても度が過ぎていたので、美少女と思われる背景には秘密があると睨んでいました。例えば深雪の達也に愛されたいという感情が無意識に精神干渉系魔法として発動して、周囲の人間に対して深雪を美しいと思わせる暗示をかけているとか。

作品を読んでないと分からないかもしれませんが、そんな風に自分で勝手に妄想した設定を入れなければ、説明がつかない程の美少女なんですよ。神に愛されているか悪魔と取引しないと得られない美しさと言われたり、生身の人間である事を忘れさせる神秘的な美貌と言われていますから。長年疑問に感じていた深雪のあの美少女設定の謎がついに明かされた瞬間が、最新刊の中では最も楽しいと思えました。あれだけ丁寧に優れた容姿を持つ理由とそれが必要になる理由を長々と説明した作品は、世の中に殆んど存在しないのではないでしょうか。