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「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」10.5巻 感想

最初の章から順に就活、デート、仕事とお試し体験する短編集かと思ったら、短編と見せ掛け最初から最後までで一つの物語になっていたから驚きました。いやまあ最初の材木座の話の時からフリーペーパーの作り方をいろはすが検索したりと伏線は結構張られていましたが。

そういえば今巻はコメディ寄りの内容だった割にはパロディが少なめだった気がします。中でも直近の作品のパロディが少なかったのは渡航先生が多忙で情報摂取出来なかったのもあるのかも。「SHIROBAKO」や「艦これ」はありましたが、その他の作品があまり無かった印象を受けました。「クズと金貨のクオリディア」も執筆していましたから時間が無かったんですかね。


「中身、か…。それでいうと同じような価値観の人たちばかりが集まるのはどうなのかしらね」
奉仕部というか比企谷との関係を雪ノ下が好ましいと感じているのはこれがあるのでしょうね。そんな価値観を持つ雪ノ下だから問題解決の手段は全然違い世間的には格下と評価されそうな比企谷の事も尊敬する事も出来る。雪ノ下的には奉仕部の閉鎖的な空間自体はどう思っているのか気になるところ。

まあ平塚先生以外にとっての奉仕部は成長を目的に作られた部活では無いので、閉鎖的だろうと何だろうとどうでもいい話ではありますが。思ったんですが外部の人間にとっての奉仕部は、様々な価値観の人間が相談に乗るから成長が望める場所なんですね。厳しい雪ノ下がいれば自分自身を高める意識が芽生え、奇抜な発想力を持つ比企谷がいれば問題そのものの見直しが出来て、場の空気を和らげる由比ヶ浜がいると話し合いが円滑に進む。奉仕部はやはりいいチームですね。

「あ、でも雪ノ下先輩はバリバリ働きそうですよね」
陽乃の後を追っていた頃の雪ノ下はそう思っていたみたいですが、今はどうなのか自分でも分からない様子。単純にまだ高校生だから将来の事が決められないのではなく、雪ノ下にはもうちょっと複雑な何かがありそうですね。これは比企谷に影響されて何を目指すのか目標が変わってきているからなんでしょうか。まず無いとは思いますが、バリバリ働かないとなると専業主婦になりたい可能性も僅かにあるかも。


「…先輩もちゃんと参考にしてくださいね?」
いろはが何を考えているのかいまいち理解出来ません。葉山狙いと言いながら比企谷に向け好意を露骨にアピールしているかと思えば、雪ノ下と由比ヶ浜を出し抜こうとせずに比企谷との仲を取り持とうともしている。比企谷がほいほい女の子の誘いに乗ると怒ったり、今日のデートを参考にしろと言ったりするのはいろはが奉仕部の面々を想っての事ですよね。

個人的にはそうだと思っているんですけど、実際のところはどうなんでしょうか。ところで比企谷からの採点の点数の内訳も似たようなものというのは、自分自身に付けた点数なのかいろはに付けた点数なのかで意味は変わりますね。もしも後者なら相手が雪ノ下か由比ヶ浜で無かったからマイナス10点となりますが…それは比企谷らしさが感じられないし多分違うかな。


「雪ノ下はリボンタイをしきりにいじっていたが、俺と目が合うと、はっとしてふいっとそっぽを向いてしまった」
グラビアから始まり由比ヶ浜の水着写真がどうこうと話している際に雪ノ下がリボンを弄っていたのは、リボンをほどいて自分の胸の大きさでも確認しようとしていたのでしょうか。比企谷と目が合うと急にリボンを結び直してため息を吐きますし、話の流れからスタイルを気にしていると考えて良さそうです。余談ですが今巻はそっぽを向かれる事が何回かあった気がします。


「…ヒッキーが辛いのはちょっと嫌かな」
由比ヶ浜が傷付いた姿を見たいと思わない比企谷に対してこんな事を言うのは狡いですね。自分が辛いのは耐えられても大切な女の子が辛いとなると悩んでしまう。もし「私と仕事どっちが大事なの」みたいな自分本意の言葉なら比企谷は動じませんが、由比ヶ浜の言い方は愛情あってのものですから無下に扱う事も出来ません。

比企谷が仕事を引き受ければどうなるかある程度は想像出来たはずなので、止めさせるなら引き受ける前にやるべきだったんですよね。それが出来ないなら必死になって手伝うしかないけれど、由比ヶ浜には悔しい事にその能力は有りません。それを自覚した由比ヶ浜は次からちゃんとする決心をしました。その決心が何の問題において発揮されるのかがちょっと恐い。残りの問題は主に恋愛絡みと雪ノ下家の事情ですからね。


「あなたでもミスをするって知っていたはずなのに」
自分の理想を押し付け比企谷を過大評価してしまい頼りにした事を反省する雪ノ下。この他者を勝手に理解したつもりになる事から生まれるすれ違いこそ「俺ガイル」のテーマの一つなんだと思います。ここで反省した後に比企谷の仕事をサポート出来るところが由比ヶ浜と雪ノ下の違い。比企谷と同じ場所に立てるのはやっぱり雪ノ下なのかなと見ていて思ってしまいます。相性の良さは比企谷と雪ノ下の方が勝っている感じですかね。

「クズと金貨のクオリディア」感想 - アニメ見ながらごろごろしたい