やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。11 (ガガガ文庫)
- 作者: 渡航,ぽんかん8
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2015/06/24
- メディア: 文庫
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今回は奉仕部の三人が関係性を壊さない為に本心を隠し、それに違和感を覚えている事が執拗に描かれていました。修学旅行直後にも似た様な事はありましたが、あの時とは異なり今回は雪ノ下までも現状維持を望んでいます。これ迄は欺瞞に満ちた関係を否定してきた雪ノ下ですが、最近は欺瞞であろうと楽しければ構わないと思い始めています。陽乃はそんな風になってしまった雪ノ下を見て、前の方が好きだったと話します。
最近の雪ノ下みたいに適当に周りと合わせながら表面的な付き合いをするのは、皆から愛される陽乃とあまり変わりません。本物なんてあるのかと考える程度には本物に執着のある陽乃からしたら、雪ノ下が本物を求めずに自分や葉山みたいな生き方を学ぶのはつまらないのではないかと。
任せられない比企谷八幡と任せてしまう雪ノ下雪乃
一色は状況が悪化してから問題をこちらに投げるので、それなら最初から手を出した方が効率的だと考えてしまう比企谷。この問題解決を他者に任せようとしないのは比企谷の悪癖。
比企谷が他者に何かを任せられないのは相手を信じられないからです。知らない事は恐いからと全てを知りたがる比企谷には、知らない相手は信じられず任せられない。それが出来る相手は小町位しかいません。比企谷が自分を甘やかして我が儘を言えないのも、この性格によるところが大きいのでしょう。
雪ノ下は一見すると自立した強い人間ですが、根本的には他者に依存しています。憧れの陽乃の後を追いかけたり、母親の望む雪ノ下らしさを演じたり、本当の意味で自分の意思で自由に生きていません。
今回陽乃に電話した時なんかは比企谷の助言をそのまま使い、自分の言葉で陽乃と会話する事さえ出来ませんでした。それには由比ヶ浜も驚いていました。振り返ってみると雪ノ下は依頼を持ち込まれると解決しますが、自分から積極的に何かをしようとはしていないんですよね。
ここにも雪ノ下が自分の意思で行動を起こせない欠点が表れていると思います。もしも生徒会長に当選していたら何かが変わったのかもしれませんが、それは過ぎた事ですからどうしようもありませんね。
イヌ派とネコ派の性格の違い
今回はイヌとネコの話が何度か出ていました。あれを見ながら思ったんですけど、イヌとネコのどちらが好きかでキャラの性格に違いがありそうですね。イヌを飼う由比ヶ浜はイヌみたいに群れますし、喜怒哀楽の表情も豊か。ネコを飼う比企谷とネコが大好きな雪ノ下はネコみたいに単独行動を好み、あまり人間に近寄ろうとしない。
比企谷の場合はネコが好きなのかは謎ですが、細かい事ですから気にしないでおきます。「俺ガイル」に限らず好きな動物はそのキャラらしさを表現するのに結構使われていそうです。
何時までも一緒にいたい由比ヶ浜結衣
手作りクッキーに愛の告白の意味を込めず、ただのお礼と言い張る由比ヶ浜。お互いの思っている事が分かってしまえば、このままの関係ではいられないから決して言葉にはしない。由比ヶ浜と雪ノ下が比企谷に抱いている気持ちには蓋をするしかない。自分が勝利したら全部貰うと宣言しましたが、このままでいたいと言うあたり比企谷との関係は進めなさそうです。それは全部貰うとは言えない気がするんですが、まあそこはまだ分からないから保留にしておきます。
このままでいたいという由比ヶ浜の提案に身を委ねる事を止めた雪ノ下。それは雪ノ下が自立する為には必要だと思いますが、委ねるのを止めたところで一体何が出来るのか。本物が欲しいと言った比企谷の依頼を受けるとして、そこから具体的にどうすればいいのか私には思い付きません。比企谷に告白でもするつもりなんですかね。そんな風に本音を全部ぶちまけるのが展開的には簡単ですけど、そう単純な方法では納得しない面倒な人達が多いからそれは難しそう。
一色いろはの役割とは恋愛起爆剤
雪ノ下や由比ヶ浜みたいに本格的にラブコメに参加しようとしない一色。それをしないなら何の為にいるのかと考えた結果、雪ノ下と由比ヶ浜の恋愛感情を刺激する為にいるという結論になりました。比企谷に一色を異性として意識させ好意を抱かせる態度や好意を抱いている態度を取る。そうやって比企谷との恋愛フラグを立てると、雪ノ下と由比ヶ浜は嫉妬したり焦り始めて恋愛方面に動こうとする。
物語上の一色の役割はほぼそれで間違いないと考えているんですけど、一色的にはどの程度までそうする意図があるんでしょうか。あの小悪魔的な振る舞いの全てが比企谷だけに対するアピールとは個人的には思えませんが、実際のところどうなのか非常に気になります。
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