アニメごろごろ

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武内Pと美城常務の対立なんて無かった

敗者にならない美城常務
アイドルの個性に合わせ時間をかけて育成してアイドル自身が笑顔でいられる事を重視する武内P、アイドルの個性よりも才能を重視してアイドルにはその才能に見合う仕事を与えて短期間で結果を出す美城常務。

美城常務の方針に反発した武内Pは不満があるなら自分の正しいと考えるやり方で早急に結果を出すように命じられます。こんな風に対立した場合は最終的に主人公側の正しさが証明される事が多いのですが、この作品ではどちらが正しいかは答えは出ずに両者の考えは平行線のままで終わります。

よくある展開だと主人公側と対立して強引な手段を選ぶキャラは、勝つ事に拘り過ぎてしまい汚い手まで使い業界から追い出されたり、主人公側が結果を出すうちに自分の考えが過ちではないかと気付いて改心しますが、この作品はそのどちらにもならなかったんですよね。こんな展開になるとは最初の頃は思いもしていませんでした。

最初の頃は美城常務に逆らい輝いていたアイドルを何名も登場させ美城常務を悪役に見せる演出でしたから。それをああいう終わり方にしたのは拍子抜けな部分もありましたが、作品のコンセプトからすれば相応しいものではないかなと思います。

この作品はアイドルが主役なんですからアイドルが輝けるなら、選ぶ道は武内Pのものでも美城常務のものでもどちらでも構わない。そこで対立してどちらの方針が正しいか決めるのなんて、本来の目的からしたらどうでもいい話なんですよね。ここで美城常務の方針を作中で完全に否定して美城常務の個性を潰せば、個性や意思を尊重するのが大切という展開に説得力が伴いません。


美城常務は理想の上司
美城常務はどちらかといえば悪役みたいな描かれ方をしていましたが、実際にしている事は至極まともで上司として理想的だと思います。明確なビジョンを持ち周りの反対を押し切り改革を行う行動力、自分に歯向かう人材でも結果を出すなら認める器の大きさ、武内Pの立案した企画に必要なら裁量権を増やして自主性を尊重、武内Pが失敗しても成功しても会社が損をしないように策を講じる、アイドルが望まない仕事を無理矢理やらせたりはしない。

作中でちらりと映された資料に書かれていたグラフを読むと、前期比で売上がかなり伸びているみたいですし普通に有能なんですよね。灰かぶりの夢を第一に考える武内Pの方が一般的な物語では良いものに描かれがちですが、城を第一に考える美城常務がいなければシンデレラとなる灰かぶりが踊る舞台は安物になります。そんな粗末な場所で行われている舞踏会を見たがる観客は少ないと思います。

灰かぶりの夢を叶えるのはアイドルとの距離が近い武内Pでも出来ますが、城を立派なものにするのは巨大な権力を持つ美城常務にしか出来ません。上に立つ者だからこそ行える仕事に美城常務が目を向けるのは戦略的には適切な判断。そうした優れた手腕を持つ美城常務に評価される武内Pも何気に凄い。


「アイドルマスターシンデレラガールズ」は最高にロックな物語 - アニメ見ながらごろごろしたい