奉仕部は比企谷八幡を働かせたら負け

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。7.5 (ガガガ文庫)

「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」の７.５巻で行っていた柔道部からの依頼の解決方法は久しぶりに綺麗なものでした。
こういう八幡が何も失わないし傷つかない解決方法なら、雪ノ下と由比ヶ浜も不満を持たないんでしょうけど…これが出来ないとなると八幡は、すぐ自分を犠牲にするような手段を選ぶから問題なんですよね。相模を連れ戻す時や戸部の告白の時にやった解決方法は、複雑な人間関係に縛られていない八幡だからこそ出来るものであって葉山達には真似出来ません。葉山にしか出来ない解決方法があるのと同様に八幡にしか出来ない解決方法もある。そしてそれは八幡がぼっちだからこそ出来るものです。
例えば八幡が由比ヶ浜と付き合い人間関係に縛られるようになれば、憎まれ役を引き受けるなど自らの評判を下げる真似をすると由比ヶ浜まで評判が下がることになります。八幡と二人で祭りに行くだけでも由比ヶ浜の評判が下がるくらいですから、そうなるのはほぼ間違いないと思います。そういう風に自分だけでなく自分以外も傷つくことを恐れるから、八幡は相手と距離を縮めようとしないのでしょう。何か話がずれた気がしますが…まぁとにかくぼっちの八幡にしか出来ないことがあるという事です。

林間学校の時のように数日間だけの関係であれば、葉山も失うものがないので憎まれ役を演じられますが、これが学校内の問題となると手を出せなくなり八幡がやるしかない状況を生み出すことになる。
そうなってしまうと八幡はそのやり方が正しいとは思っていなくても、それは自分にしか出来ないし自分にはそれしか出来ないと分かっているからやらざるを得なくなる。普段は主夫になりたいだの働きたくないみたいなことを言っている癖に、働くとなると自分を犠牲にするあたり社畜の素質があるのでは…。

奉仕部の仕事をすると問題解決の為に自ら憎まれ役を選んでしまったりするので、これを止めさせるには仕事そのものを奪わなければならなくなる。八幡に仕事を与えるのは奉仕部なので、奉仕部を退部させてしまえば八幡は無茶なことをしなくなりますが、それは由比ヶ浜と雪ノ下との繋がりを断つことになる。
それでは八幡が入部前に戻るだけで、いい方向に変わって欲しいと願う平塚先生としても好ましくはないでしょう。
ではどうすれば良いかという話ですが、中々難しい問題ですね。由比ヶ浜が強引に八幡と距離を縮めることで八幡の動きを縛ることは可能ですが、これには八幡以外の人間との関係を全て捨てるくらいの覚悟がないと無理だと思います。雪ノ下の家庭の問題もまだ残っていますし、これから先どういう展開になるのか気になります。