アニメごろごろ

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「Fate/stay night」の言峰綺礼は人類を救う為に生まれた

人々の不幸に愉悦を感じる言峰綺礼。放置すれば聖杯を手中に収めて人類に危害を加える悪ではありますが、言峰の存在は霊長の守護者であるエミヤを生み出し、間接的に人類を救済する正義を成しています。

言峰が第四次聖杯戦争で引き起こした大災害は大勢の命を奪いましたが、この事件を切欠に平凡な少年として生きてきた士郎は切嗣と巡り会います。それから数年後に士郎は第五次聖杯戦争に巻き込まれ、魔術師の世界を深く知る事になります。

士郎が凛に導かれて聖杯戦争に参加する道を選んだ原因も、元を辿れば言峰がランサーに目撃者を始末しろと命じて偶発的に士郎を殺した事が原因。あそこでランサーに殺されていなければ、聖杯戦争なんて下らない殺し合いを止めようとは考えなかったかもしれません。この様に言峰は意図せず間接的に士郎の人生に多大な影響を与えています。

言峰が第四次聖杯戦争と第五次聖杯戦争に参加したからこそ士郎は正義の味方に憧れを抱き魔術の世界を知り、後に世界と契約して霊長の守護者として人類の破滅を阻止する英霊エミヤが誕生するので、もしもあの大災害を経験していなければ士郎の精神は壊れずに、普通の少年として生きたでしょうからエミヤには成らなかったはず。

正義の味方を目指す衛宮士郎の人格を間接的に形成した言峰綺礼。他者の苦痛に悦びを感じる異端者の言峰の生に意味があるのだとしたら、それは霊長の守護者を作り出すことを世界に求められたからではないでしょうか。

ルートによっては士郎がエミヤにならない世界も存在しますが、エミヤになる世界が必ず何処かに存在しています。世界と契約して守護者になることが世界に決められているエミヤ、それを生み出す為に言峰が必要であるのならば、言峰の在り方もまた世界によって決められたものと言えるでしょう。

霊長の守護者を生み出す為に存在している悪であり、聖杯戦争に敗北すれば士郎とランサーの手で命を落とし、勝利すれば人生の答えは得られてもアンリマユの力で命を落とし、どう抗おうと聖杯戦争以降に存在する事が許されない言峰の運命もまた「destiny」ではなく「fate」と呼べるでしょう。