アニメごろごろ

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カワイイは人を殺しても正義になるのか

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己の心から生み出した世界と人間を身勝手に壊してきた新条アカネ。視聴者がアカネの罪を許しているのは、美少女に描かれているからだという意見が物議を醸していました。

アカネが人々に愛される外見をしていることは、1話の裕太と内海の会話から読み取れますし、外見を理由に罪を咎めない視聴者もいるでしょう。その点は否定が出来ません。

私自身は美少女だからアカネが許されている訳ではないと思っていますが、記事の本題ではないので省略します。アカネに対する私見は既に書き残しているので、そちらを読んで下さい。

taida5656.hatenablog.com

 

罪を犯したキャラが許される条件 

何故、私達は罪を犯しキャラを許してしまうのか、或いは許せなくなってしまうのか。許されるキャラと許されないキャラの境目。その差を生み出している要因を分解した場合、下記の様になるのではないかと考えています。

 

キャラへの好感度(外見、内面、境遇、行動)

キャラの罪と罰(罪状、罪悪感、処罰)

物語内倫理

 

一番目はキャラに好感を持てる要素が多ければ、受け手は判断が甘くなるという話。悪人であっても可哀想な過去が明かされたり、主人公を窮地から命を懸けて救えば、好感度は一気に上がる。後者の手法は「ONE PIECE」が好んでいますね。

好感度を上げる方法としては、元悪役のアホ化も押さえておきたいところ。プリキュアシリーズや仮面ライダーシリーズでは、冷酷な悪役が子供に受け入れてもらえる様に、仲間に加入した後はアホキャラにされる傾向があります。

罰は与えないけれど、恥はかかせる。最初から三枚目であった主人公側のキャラより、敵側であったキャラの方が三枚目になる場合は少なくありません。

最近の例で言えば「仮面ライダービルド」の氷室幻徳は、冷静で知的な雰囲気のおじさんでしたが、途中から空気の読めない残念なファッションセンスのおじさんにされてしまいました。その変わり様はキャラ崩壊の域でしたが、そのおかげで子供に愛されていたみたいです。

 

二番目はキャラが犯した罪の程度、罪に対する反省の程度、罪に対する罰の程度。たとえ罪が軽かったとしても、反省の色が見られず、誰にも責められなければ、受け手は許せなくなります。「コードギアス」の扇が嫌われた理由は、恐らくここにあるのではないでしょうか。

主人公のルルーシュを罠に嵌めながら、その後に美女とイチャイチャしたり、 首相に出世しているから、受け手に嫌われてしまう。罪自体はルルーシュやロロと比べて軽いはずなんですけどね。スタッフも扇の扱い方は失敗してしまったと感じたらしく、劇場版では受け手のストレスを和らげる台詞が追加されました。気になる人は見て下さい。

ちなみに一般的に罪と罰が釣り合うキャラは受け手に許される訳ですが、罪を償わないで済む抜け道もあります。それは罪を無に帰す記憶喪失。キャラの記憶を殺すことで、糾弾が出来ない状況を作り出します。

死んでも償えない罪を犯したキャラを生かしたい時の奥の手。記憶喪失を死別と同列に感じる受け手はそれなりにいますが、どうしようもなく行き詰まった時の救済の方法として有用ではあるでしょう。そのキャラが生きているだけで救われる人もいるので。 

 

三番目は物語内の倫理観。基本的に受け手は物語と現実を切り離せるので、殺伐とした世界観であれば、現実に起きたら許せない行為でも気にならなくなります。大丈夫だ、ドラゴンボールで生き返れる。

ドラゴンボール」のベジータが人を殺しても許される理由は、悟空と比較して家族を大切にしていること、地球を守る為に命を捨てたこともありますが、ドラゴンボールの多用で命が軽くなっている点が大きいでしょう。今ではレッドリボン軍と死闘を繰り広げていた時と同じ風には見れないですよね。

 

キャラは見た目が9割ではない

上で述べた通り、キャラを許す際の基準は複数あります。重視するポイントは個人の感性によりますが、外見の効果は本当に大きいのでしょうか。異論はあるかと思いますが、個人的な意見としては、そこまで影響を及ぼさないと考えています。

確かに作品に興味を持たせる場合や抱き枕など高価なグッズを買わせる場合は、キャラの外見が重要であることは周知の事実。優れたデザインは見る者の心を掴むだけではなく、物語上の演出にも効いてきます。

yokoline.hatenablog.com

メインターゲットを男性にするのであれば、アカネも美少女に描いた方が商業的に成功する確率は上がるでしょう。それだけ絵の力は大きい。その事は萌え本、ゆるキャラVTuberの流行からも感じ取れます。

ただし、キャラに対する好感度は外見だけでは決まりません。そのことを「げんしけん」の斑目や「FGO」のゴルドルフ新所長の愛され方を見ていて感じるんですよね。

痛々しいガリガリのオタクに高慢な態度のデブ、二人とも登場時に好印象を与えるキャラとは言えないでしょう。けれども受け手の共感を呼ぶエピソードが増えたことで、株を上げていきました。

 

あばたもえくぼ。人として好きになってしまえば、欠点に思える外見も好きになるもので、彼等がイケメンでも美少女でもないところに魅力を感じるファンもいます。

これは物語の持つ力ですよね。第一印象が最悪であったとしても、そこから受け手の見方を変えてしまう。物語が進んで相手を深く知っていけば、今まで許せなかったことも許せるようになる。

 

自分の結論としては、キャラの外見は人々に興味を持たせる為の入り口の役割が大きく、キャラと長く付き合っていけば、好感度に影響する割合は徐々に小さくなるもの。そこはリアルにおける人の付き合い方と殆んど一緒だと思います。

最後になりますが、長い話にお付き合い頂きありがとうございました。駄文はここまでにして、早く「HUGっと!プリキュア」の記事を書き上げることにします。