アニメごろごろ

楽しんで頂けたらツイートなどしてもらえると喜びます。

「Re:ゼロから始める異世界生活」五章完結記念感想


英雄幻想を背負えるスバル
4章ではスバルがレム以外からも愛されていると自覚、5章ではスバルがレム以外の英雄になると決意。第五章41「英雄幻想」と第五章42「最も新しい英雄と最も古い英雄」で大罪司教を倒した英雄として市民の希望を背負い、絶対に勝利すると誓いを立てるスバルは最高でしたね。

英雄になる道を選んで希望を背負えば絶対に負ける事は出来ないのだというアルからの忠告に対して、負けられない戦いなんてものは何時もと変わらないから大した事ではないと返せるスバル。死に戻りがあるとはいえ、楽な道であるはずが無いのにこれが言えるのは凄いですよね。

自分を過小評価してしまうスバルは気付いていませんが、こういう風に平然と言ってのけるからこそ尊敬されているのでしょうね。これが出来るのはヴィルヘルムやユリウスやラインハルトが努力してきたのと同じ様に、スバルにも異世界に来てから死に戻りを繰り返しながら積み重ねてきたものがあるからだと思います。スバルは本人が言う通りの弱いし情けない存在かもしれませんが、過去にエミリアやベアトリスを助ける為にしてきた事は紛れも無い本物。

特別な才能に恵まれた彼らと違って何も持たないスバルはその分だけ苦戦を強いられたわけで、それを乗り越えてきた経験は自覚せずとも自信に繋がり勇気を与えてきたはずです。無駄に鍛え続けたおかげで身体能力が日本人の平均を上回るとはいえ、異世界では雑魚も同然のスバルがここまで成長したのかと思うと感動して涙が出ます。

そんなスバルの姿に心を動かされるのは自分がスバルを最後は必ず勝てる物語の主人公としてではなく、現実の延長線上にいる普通の高校生として見ているからなんだろうと思います。

精神的にも肉体的にも特出したもののない普通の高校生だと思っているからこそ、死ぬ気で誰かを助けるなんて物語ではありふれた行為に対して立派だと感じられる。1章の時はスバルをそんな目で見ていなかったんですけど、何時の間にかすっかり認識を変えられてしまいました。そういう風に思わせる事が出来るのは、鼠色猫さんの筆力の高さが成せる事なのでしょうね。


皆の英雄は特別な誰かの英雄にはなれない
スバルがエミリアを救う過程でレグルスとペテルギウスと白鯨を討伐した事、ベアトリスとガーフィールを外の世界に連れ出した事は、結果的にエミリアを助けるのみならずその他大勢の人達を助ける事に繋がってきました。ヒロインを救おうとしたついでに世界も救えるのはスバルにとってかなり都合の良い状況です。

これが続いている間は皆の英雄でいる事はそんなに苦ではないのですが、エミリアとそれ他大勢のどちらかしか守れない状況になると、スバルはとんでもない地獄を見る破目になりそうですよね。スバルを苦しめる事に全力な鼠色猫さんはそういう展開を今後何処かで入れるのではないかなという気がします。

エミリアの為に動いた事で皆の期待を裏切るとしたらどうするか。5章の都市奪還攻略戦でエミリア陣営が大勝利した裏でアナスタシア陣営とクルシュ陣営が大打撃を受けたみたいに、全力で対処しても何処かしらに犠牲が出てしまう事態はこれから先にも訪れると思います。

スバルが皆から期待されていない立場にいる間は、被害が出たところで失望され非難される事はありませんが、英雄として見られるようになればそうもいきません。そこで失敗してしまうとクルシュを巻き込んでしまいフェリスから責められた時の比ではない規模の重圧がスバルに襲い掛かります。今後万が一にもそれが起きた時にスバルが耐えられるのか心配。そんな時にスバルを支えるのはスバルを特別扱いしない親友のオットーになると信じています。


強敵の攻略方法を模索する楽しみ
特異な能力を持つ大罪司教との戦闘は単純な力押しにならないから展開が読めない。レグルスみたいにどうやったら勝てるのか分からない相手と戦いながら能力に関する情報を断片的に集めて攻略方法を見つけ出す。この手の戦闘は一気に読んでしまわずに主人公達と同じ様に考えながら読むと楽しさが数倍になりますよね。

通常のライトノベルと違って小説家になろうでの連載では、週刊漫画みたいに情報が小出しにされ種明かしまで数週間は掛かるおかげで、その間に読者同士で語り合い能力の正体と弱点を考える暇があります。

そこで一生懸命考えた予想が外れたらそうきたかという驚きがあり、予想が当たれば努力が報われて嬉しいと思える。パンドラ戦でもそうした楽しみ方が出来そうなので期待しています。


英雄にしかなれないラインハルトは大切な人の心を救えない
ヴィルヘルムの制止を振り切り術者に操られていたテレシアの亡骸を消し去るラインハルト、剣聖の力はヴィルヘルムの命は救えても心までは救えませんでした。テレシアに止めを刺した事が原因で家族間にある溝が深まるのですが、あれに関してはラインハルトが責められるのは理不尽極まりない。

テレシアが生きているとか自我が残されているとかなら、ラインハルトが身内から怨まれるのも分からないでも無いのですが、あんな状態のテレシアなら止めを刺してあげた方が救いになると思うんですよね。ヴィルヘルムが死ぬかもしれない場面で守れる力があるのに傍観するなんて出来る訳がありません。テレシアも自分の手で愛する夫を殺める事を望まないでしょうし、ヴィルヘルムが死ねば悲しむ人達も大勢いるでしょう。

あの場面で自分に出来る最善の事をしたのに批難されるラインハルトを見ていると本当に胸が痛い。こういう時にハインケルみたいに何も出来ない弱者は楽でいいですよね。何もしないのは力が無いから仕方が無いのだと自分に言い聞かせて責任を負わずに逃げられますから。力のある者は出来る場合は何もしない訳にはいかず、何でも出来る分だけ責任の範囲も広い。英雄の道を進み始めたスバルもそのうちラインハルトの様な苦悩を経験するかもしれませんね。