空に浮かぶ島、流れ落ちる水、巨大なクリスタル。アイドルがアイカツパスをセットした直後、フィッティングルームには神秘的な光景が映し出される。そしてアイドルは現れた貝の扉を潜り抜け、空に昇りながらドレスを身に纏う。「アイカツフレンズ」のフィッティングルームは前作と比較して、背景の拘り方に差が見られました。
どうして背景に力を入れるのか。勿論、視聴者の興味を惹く為ではあるのですが、それ以外にエルザフォルテや愛野美奈子といったアイドルと縁の深いある存在を表現する為でもあります。それは愛と美の女神と呼ばれるヴィーナス。
「アイカツフレンズ」のフィッティングルームで映される水と貝は、彼の有名な絵画「ヴィーナスの誕生」から着想を得ています。まあ例によって個人の推測の域を出ませんが、ボッティチェッリの絵画を念頭に置いて考えた場合、色々と見えてくるんですよね。ちなみに貝の方は前作のフィッティングルームでもエルザの椅子でも出てきます。
「ヴィーナスの誕生」では海の中から生まれ、裸体で貝の上に乗るヴィーナスが、天界と地上を結ぶ雲の門の番人ホーラから絹の布を渡され、オリュンポス山に連れて行かれる。「アイカツフレンズ」では貝の扉を潜り抜け、一糸纏わぬ姿になったアイドルが、アイカツシステムの生み出すドレスに導かれ、遥か上まで昇る。これはまさしく神話の再現。
アイドルをドレスで輝かせるアイカツシステムは、言うなれば美しい花々の成長を守護するホーラ的な存在でしょうか。フィッティングルームは神々の世界のイメージで制作されている。神話的に映像を解釈する場合、空に浮かぶ島や古びた建造物が描かれる理由も分かる気がします。
スタッフがどの程度まで考えていたのかは置いておくとして、脈絡も無くファンタジーなフィッティングルームを作り出した訳ではない。それだけははっきりと言えるでしょう。巨大なクリスタルが存在する意味はいまいち分かりませんでしたが、恐らく同じ４月の誕生石のダイヤモンドと関係しているのではないかと。
