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「アイカツフレンズ」友希あいねの抱える心の闇は深い

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視聴者がざわついた衝撃の告白回が放送されて以降、「アイカツで一番重い女、ピュアパレットのピュアじゃない方」等の不名誉な呼び名を与えられてしまった湊みお。

ラブミーティアオタクで友達の少ない彼女は、人との付き合い方があまり上手ではなく、まだまだ子供なのでストーカー的な残念な行動も見られます。

アイカツフレンズ」ではそうしたみおの重い愛が注目されていますが、そこだけに意識を奪われてはなりません。あまり話題に取り上げる人が少ないですけれど、相棒の友希あいねも彼女に負けず劣らず変な子。

あいねが単なる変わり者ならいいのですが、彼女はそんな言葉で済ませられない深刻な問題を抱えているように思えるので、今回はその件について論じていきます。

 

顔は広いけれど物は知らない
あいねはみおと対照的に友達は沢山いますが、同世代と比べて常識がちょっと欠けているようで、世界的に有名なラブミーティアを知りませんでしたし、スターハーモニー学園のトップアイドルの名前も記憶にありませんし、トモスタの使い方も何だか分かっていません。

特にラブミーティアを知らないのはちょっと信じられないですよね。ラブミーティアは世界中の有名人が観に来る程の超一流アイドルであり、姉のすずねと妹のももねがファンなのですから、顔は覚えていなくても名前くらいは認識していてもおかしくないでしょう。

アイカツ」の星宮いちごはアイドルに興味が無く、弟のらいちがアイドルオタクであることを隠している状態でも、一般常識として神崎美月の名前と顔は知っていました。

常識的に考えるのであれば、あいねもその程度の認識は持っているはずです。ところが実際はラブミーティアが何なのかも分かっていない反応でした。これにはすずねとももねが目を開いて驚くのも頷けます。

 

明日香ミライが惹かれたぐだぐたな面接

あいねの変わっているところは、まだまだあります。初めて受けたオーディションでは緊張の影響もありますが、面接官側の席に座るというミラクルを起こしますし、好きな諺を聞かれて「目指せ友達100万人です」と言ってしまいます。

初オーディションの緊張を抜きにしても、滅多に御目にかかれる光景ではないでしょう。兄のかずねが心配していた通り、面接は全然大丈夫ではありませんでした。あいねが繰り返し失敗をしてしまう理由なのですが、その一因に興味の範囲の狭さがあると思います。

最初にあいねを見た時はコミュ力が抜きん出ていて、所謂オタクと縁の薄いリア充に思えていました。ところが実際はそんなことは無くて、あいねはみおと一緒でオタクなんですよね。

友達を増やすことに興味を持っている友達オタク。メモリーが友達の名前や顔を覚えることに使われ過ぎて、それ以外に妙に疎いから面白行動を取り始める。そこがあいねの魅力でもあるんですけど、その所為で先輩アイドルのみおは何度もフォローする羽目になりました。

 

友達の頼み事を断れない

趣味は自由に決めるべきだと思いますし、友達を増やす自体は決して悪くないと思います。ただしあいねの場合は、友達を作る為の行動がたまに度を越えていて、ちょっと怖くなります。

あいねの致命的な欠点は困っている友達を放っておけないところ。友達を助ける為なら、相当な無茶もするんですよね。それが強く感じ取れるエピソードは1話と9話でした。

人生で一度もアイカツ経験がないのに、学園トップアイドルのみおのハードな練習に朝から夕まで付き合う。友達(ファン)の忘れ物を届けようとして、傘も差さずに雨の中を走り続けて風邪を引く。

 

あいね「ファンの皆さん、ごめんなさい。アイドル失格でごめんなさい」


打算的に行動するももねとは正反対で、あいねは誰かれ構わず友達になろうとする上に、目の前の友達を助けることに悩みません。その結果、ファンイベントでは喉を痛めて周囲に迷惑をかけてしまう。この様な人に尽くす生き方を続けていては身が持ちません。

もう何が言いたいかお分かりでしょう。友希あいねは衛宮士郎や火野映司と同類の自己犠牲型主人公なんですよね。知り合ったばかりの友達と呼べるかも微妙な相手の為に、凡人なら音を上げる苦労も厭わない。人としてどこか壊れている。

 

友希あいねは涙に弱い
あいねの友達に対する行動の根底にあるもの。それは友達に喜んで欲しいという好意だけではなく、友達を悲しませてしまうことへの恐怖があるのではないでしょうか。

その説を補強する材料として、あいねのプロフィールに書かれた苦手なもの「涙」があります。人の涙を見たくないから、人とぶつかることを避けて、人の期待に応えようとしてしまう。

もしかしたら、あいねは過去に友達を泣かせた経験があるのかもしれません。それがトラウマとなって友達という存在に対して、異常な反応を見せるようになってしまった。

カードも友達、ドレスも友達、ファンも友達。あらゆるものを友達に結び付けて考える癖が、自身の欠落を埋める行為である可能性は無きにしもあらず。

 

あいね「舞花ちゃんのステージ観に来たんですか?」

エマ「うん、まあね」

あいね「喧嘩…してるのに?」

 

喧嘩していたら友達のステージなんて観に行かないのではないか。友達を大切にしているあいねにとって、喧嘩は絶対に起きてはならないことなのでしょう。それ故に喧嘩した友達のことを非常に心配してしまう。

あいねは友達を作る力に長けてはいるけれど、恐らく友達の数に反して喧嘩の経験は驚く程に少ない。関係を築くことは得意でも、関係を治すことは苦手なタイプ。上記の心配する台詞もそうした経験値不足から来ているのではないかと思います。

個人的に人として成熟している日向エマや明日香ミライなら、仲が良くてもぶつかることがあるのは知っているでしょうし、その程度で友情が壊れないことも分かっているので、あいねの立場になっても同じ事は言わない気がします。

 

ダイヤモンドフレンズに至る道
それでは話が長くなりましたが、あいねが友達とぶつかることを怖がる話を踏まえて、ハニーキャットのステージを観た後の感想を見てみましょう。上記の文脈で捉え直した場合、台詞の裏に隠れたあいねのメッセージが浮かび上がると思います。

 

あいね「本当のベストフレンズならぶつかったっていいんだね」

 

ぶつかりながら絆を深めるエマと舞花。本当の友達なら喧嘩した位で離れていったりしない。ハニーキャットがあいねの中になかった友達の新たな在り方を気づかせた。ここで述べた仮説が正しければ、14話のラストは今後の展開を左右する重要なシーンになるでしょう。

TIGER & BUNNY」的な喧嘩ばかりする凸凹コンビが仲を深める物語ではなく、仲の良いコンビが本音で言い合えるようになる物語。「アイカツフレンズ」の到達点はそこになるのかもしれないですね。

 

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表面的に良い顔をして深く人と付き合えないあいねを、不満も吐き出せる普通の人間に戻してあげる。それこそがフレンズであるみおに与えられた使命だと思います。

お互いにぶつかろうとも決して傷つかないダイヤモンド。正の感情も負の感情も打ち明ける関係を手に入れた時、初めてあいねはOP二番の「涙だって笑顔だって伝えたい。ありったけの想い」を歌えるようになると信じています。

本当にキッズアニメでそこまで重い話になるのかという疑問は尽きませんが、「HUGっと!プリキュア」の例もありますし、最初に取り上げた告白回も予想を越える内容でしたので、ここは油断せずに行きたいところ。

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