アニメごろごろ

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70年代から00年代までのロボットアニメのメカデザイン


70年代
今でこそ「機動戦士ガンダム」に「機動警察パトレイバー」と白を基調としたロボットが浸透していますが、この時代は赤に青に黒と小学生男子が好む色を中心に塗られていました。デザインは「勇者ライディーン」や「鋼鉄ジーグ」に見られる丸太の様な円柱体の腕と足を持つロボットと「機動戦士ガンダム」や「超電磁ロボコンバトラーV」に見られる角張った直方体の腕と足を持つロボットに分けられます。

円柱体と直方体は作画の手間が違います。昔のアニメはロボットのボディーに影を付けない事がありますが、そうした時代では角が少ない形の方が絵にする方が負担は減らせます。例えば球体なんかはどの方向から捉えた姿であろうと丸いだけですから、影が不必要ならコンパスがあれば誰でも簡単に描けますが、正十二面体をあらゆる方向から捉えて複数枚描けと言われたら苦戦しますよね。極端な例ですが円柱体と直方体の話もそれと同じ事だと考えて下さい。

この頃は子供でも描けるシンプルなデザインのものばかり。玩具が作りやすいという大人の事情が影響していたのかもしれません。技術的にアニメも玩具も大したものは作れない時代でしたから、あまり複雑なデザインにするわけにはいかなかったのでしょう。



80年代
ロボットは金属らしいメタリックさを表現する塗り方に変わりました。70年代に見られた丸みを帯びたロボットはロボットでは無いと言わんばかりに一時的にその姿が消え、80年代前半には「百獣王ゴライオン」に「六神合体ゴッドマーズ」に「ビデオ戦士レザリオン」とスーパー戦隊シリーズに登場する様な図体が太めの合体変形ロボットが何体も現れました。

順序的にはスーパー戦隊シリーズがこれらの作品の影響を受けたのではないでしょうか。アニメのロボットは現在もデザインが変わり続けていますが、スーパー戦隊シリーズは何十年経過してもこの時代のデザインをベースにしていますね。この特撮ロボットの変化の少なさも調査したら面白そうな事が何か言えるかもしれません。



90年代
88年に放送された「魔神英雄伝ワタル」の影響を受け、90年代前半には「覇王大系リューナイト」に「NG騎士ラムネ&40」と頭身の低い比較的小型のロボットが急激に数を増やしました。90年代後半になると「新世紀エヴァンゲリオン」に「VS騎士ラムネ&40炎」に「天空のエスカフローネ」と細身で鋭角の多いロボットが活躍する機会が増えました。少年漫画の主人公が「北斗の拳」や「シティーハンター」のマッチョから「幽遊白書」や「るろうに剣心」の細マッチョに移り変わったのと同様にロボットも細マッチョが好まれ始めたのでしょうか。

メカデザインとは関係の無い話なんですけど、この時代のロボットは近未来的な機械というより、ファンタジー的な魔導兵器に近いものが目立っていたように思います。この時代の特徴として小中学生の少年が操縦するロボットが増えた事も見逃せません。主題歌にロボットの名前が入らない作品が増えた事も特徴にありますね。


00年代
99年に放送された「機獣新世紀ZOIDS」のような3DCGにより作られたロボットが、この頃から次第にその勢力を拡大していきます。00年代は深夜枠の増加に併せてアニメの対象年齢が上がりました。その影響もあるのか「勇者特急マイトガイン」や「絶対無敵ライジンオー」の様な小学生向け作品に使われた合体変形ロボットにありがちなデザインは使われる機会が減ります。

この手のデザインは「神魂合体ゴーダンナー」がそうであったように意図的に古臭さを出す為に使うものになりました。90年代にはまだ勇者シリーズエルドランシリーズと昔ながらの合体変形がありましたが、00年代後半になると合体変形は純粋に格好良いものから「創世のアクエリオン」の名台詞「あなたと合体したい」や「気持ちいい〜」など視聴者を笑わせるものになった気がします。

天元突破グレンラガン」の最初の合体経緯もカミナが顔が2つある敵のロボットに対抗して、こちらも顔を2つにしようとラガンをグレンの頭の上に強引に突き刺しただけの馬鹿みたいなものでした。これらが登場した背景には市場の変化から子供向けの玩具販売ありきの企画が減少、玩具会社の意見を聞かずに自由に作品を作れるようになった事があるのではないでしょうか。表現の幅が拡大したからこそ合体変形の扱い方に多様性が生まれ、合体変形するもしないもアニメを作る側が決めていい空気に移行したのはあるでしょうね。

少し脱線しましたが、反対に「新世紀エヴァンゲリオン」や「ブレンパワード」の様な中高生向けの作品に多数見られた細身のデザインは使われ続け、「交響詩篇エウレカセブン」や「ガンソード」などに受け継がれていったように思います。ところで話は変わりますが00年代には主題歌どころかタイトルにすらロボットの名前が入らない作品をちらほら目にしますね。「コードギアス」なんかはタイトルがロボットとは全然関係無いものを指しています。



搭乗時の姿勢
おまけというか当初の予定ではこちらが本題になります。これだけだと記事の内容が薄いと思い、おまけで年代別のデザインを追加したら、そちらの方が本題みたいになりましたが。最近は後背位的な前傾姿勢でロボットを操縦するパイロットを目撃しますが、何故あの様なものが出始めたのか気になります。

考えられる理由としてはスピード感を演出する為でしょうか。面接時みたいに背筋をぴんとさせ操縦席に座るよりは、前傾姿勢の方が前に進んでいる感じが伝わり速そうに見えますからね。「クロスアンジュ 天使と竜の輪」でも「輪廻のラグランジェ」でもこの姿勢になるのは、高速飛行が可能な戦闘機形態の時ですから多分正解なのではと考えています。

この他には尻や胸が強調されるアングルで描けるという事が理由にあるのかもしれません。あの搭乗姿勢が女性パイロットが活躍するロボットものに集中しているのが偶然とは思えませんし、多分最近の美少女のサービスシーンを重視する視聴者の期待に応えた結果誕生したのでしょう。

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