アニメごろごろ

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「勇しぶ」と「魔王さま」不遇な環境を受け入れるかどうか


勇者になれなかった俺はしぶしぶ就職を決意しました。」と「はたらく魔王さま!」は主人公が小売業の店員です。「勇しぶ」の主人公ラウルは勇者を目指していましたが、魔王が倒れ勇者制度が廃止したことで就職活動を始めてしぶしぶ店員になり、「魔王さま」の主人公真奥貞夫は魔王として軍隊を率いていましたが、色々あって日本へやってきて生活費を稼ぐ為にアルバイトを始めます。それまでの二人の経歴や目標を考えれば相当不遇なものでしょうが、これが不幸になるかどうかは本人の意識次第でどうにでもなるんですよね。

最初の頃のラウルが勇者になれなかったことを悔いながら働いていたのに対して、真奥は世界征服の第一歩としてアルバイトから正社員になることを目標に頑張って働いています。自分の置かれている状況が望んでいないものだと文句を言うのではなく、そこで何か一つでも得て前に進もうとする姿勢は素晴らしい。さすが魔王をやっていただけの事はあります。勇者を志望していただけで何も成し遂げていない者と魔王をやっていた者の差というものを感じる。真奥の行動力や意識の高さを見ていれば、部下や後輩から慕われているのも頷けます。

ラウルなんかは夢破れてから立ち直るまでに時間がかかっていますし、仕事にやりがいを見出したのもフィノと出会ったおかげですからね。何かこう書いてしまうとラウルが駄目駄目な感じですが、目的と手段を最後まで間違えることがなかったのはラウルの良い所だと思います。ラウルの元勇者志望仲間なんかは勇者になる為に、魔王を復活させるなんて意味不明なことをしていましたから。あいつらは肩書きと名声を手に入れたいだけで、平和の為に戦うつもりなんて最初から無かったのかなあ。

ラウルは勇者にはなれませんでしたが、店員として困っている誰かを助けることは出来ています。勇者と店員とではやることは違いますし、その待遇も全然違いますが誰かを助けるという部分は同じなので、店員も考え方次第では悪い仕事ではないんですよね。その事はフィノを助けた後に皆で食事している時の会話で、上手いこと表現されていました。

フィノを助ける為に戦ったりして「大変だった」とラウルが愚痴ると、敵を足止めしていたラムは「大変だったのはこっちだに」と返して、店に残り働いていた副店長は「いやいや一番大変だったのは俺達だろ」と返します。馬鹿馬鹿しい会話に見えるかも知れませんが、これは勇者のような活躍も店員としてお客の相手をするのも変わらない事を意味しています。

大変なのは皆同じであり、皆誰かの為に頑張っている。そう考えることが出来れば無味乾燥に思える仕事にも価値を感じられるのでしょうね。自分の意識と視点を切り替えることの重要性を「勇しぶ」と「魔王さま」から学べたような気がします。