アニメごろごろ

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プリキュアシリーズのOPは15年間で何を描いてきたのか

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15周年を迎えるプリキュアシリーズのOP。子供に愛されることを念頭に置き、1年間も使い続ける予定で作ることから、チャレンジして奇を衒った歌詞や映像にすることはまずありません。

基本的に方向性は大きく変わったりはしないのですが、そうは言ってもどれも一緒なんてことはなく、子供の心を掴む型にはめながらも作品毎の色は出ています。本稿ではそれについて語っていきます。

下図は全作品OPの前期映像の調査結果になります。 

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思ったよりも殴らないプリキュア

攻撃を避けるばかりの「フレッシュプリキュア」、攻撃が命中する瞬間に回想シーンが挟まれる「ドキドキプリキュア」、優雅に攻撃を受け止めていなす「プリンセスプリキュア」。

プリキュアは肉弾戦が見所だと思っているのですが、OPでは必殺技に時間を使われていたりして、直接的に殴ったりする作品は意外に少ない。「ふたりはプリキュア」も歯を食いしばり立ち上がるシーンはありますが、敵を殴るシーンは一切ありませんでした。

プリキュアソングは長い間「勝つ」ことよりも「負けない」ことを歌に込めてきたそうですが、その辺の価値観は「ふたりはプリキュア」の映像にも表れていたようです。敵を倒す為ではない、自分が倒れない為の力。


陰から支える家族はOPで姿を見せない

主人公達を精神的に支える家族。魅力的な人達ばかりで、キッズアニメの中では見せ場が多い方ではありますが、OPに出演する機会は少ないです。もっと両親を出してもいい気はしていますが、プリキュアシリーズは色んな意味で子供の物語であるので、大人はでしゃばるべきではないのでしょう。

スマイルプリキュア」では緑川なおの弟妹、「プリキュアアラモード」では剣城あきらの妹が出演。上記は2人のお姉ちゃんキャラを描写する意図で入れている面が強めでした。

 

途中退場する敵幹部は出演させたくない

敵幹部の出演は定番の演出となっていますが、これが本格的に導入されたのは「フレッシュプリキュア」からであり、「Yes!プリキュア5GoGo!」は新聞を読むブンビーさんがちょこっと映される程度。

敵幹部はストーリー上は重要な立場にいますが、大半が途中で退場してしまう為にOPに出し難かったのでしょう。OPに出演しても動画の枚数は少なく、あまり動かしてもらえませんし、戦闘シーンもほぼありません。

例外的に「プリンセスプリキュア」のクローズはプリキュアとの激しい戦闘が描写されていました。放送当時は破格の好待遇に驚きましたが、最終回まで見れば腑に落ちる演出でした。

 

プリキュアは何の為に手を繋ぐ

手を繋ぐ。それは「ふたりはプリキュア」において、特別な意味が込められている行為でした。その為に変身する過程で手を繋ぐ作品は当然として、それ以外の作品でも手を繋ぐシーンは幾つか見られました。

ハートキャッチプリキュア」では花咲つぼみが来海えりかと逃げる為、「プリンセスプリキュア」では春野はるかがパフと踊る為、「ドキドキプリキュア」では相田マナが剣崎真琴を独りにしない為に手を繋ぎます。

「ドキドキプリキュア」の場合はマナと真琴の手だけ映したカットを入れているので、恐らく特別な意味を込めて手を繋がせているのでしょうね。

 

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OPから姿を消していくプリキュア

キッズアニメでは子供の記憶に残るように、OP開始直後からキャラ名を出すことはよくあり、例えば「魔法のエンジェルスイートミント」はOPで「わたしミント12才」と自己紹介から始めます。

さすがに年齢まで周囲にばらしたりしませんが、これに負けず劣らず「ふたりはプリキュア」も自己主張が激しく、自分達がプリキュアであることを繰り返し伝えます。

 

それでは、OPの歌詞に「プリキュア」という単語が表示されるまでの時間を見てみましょう。「ふたりはプリキュア」は映像が流れて直ぐに「プリキュア」と表示されていますが、最近は開始から10秒以上「プリキュア」と表示されない作品が続きます。

プリンセスプリキュア」や「HUGっと!プリキュア」の冒頭にあるナレーション部分を抜きに考えたとしても、その時間が延びている点は疑い様が無いでしょう。

 

グラフには載せませんでしたが、OPにおける「プリキュア」という単語の使用回数も減少傾向にあります。初期の3作品は歌詞に表示されていない部分も合算すれば、10回以上は「プリキュア」という単語が聞き取れます。

最初は飽きる位に「プリキュア」が連呼されていましたが、徐々に「フレッシュ、スマイル、プリンセス」といった別の単語に出番を取られ、直近の3作品になると2回しか使われないようになりました。

OPではっきりとプリキュア変身後の姿が映されるタイミングも遅くなりがちですし、視聴者に全力でプリキュアをアピールする時代は終焉を迎えたのかもしれません。

 

町の人に応援される「フレッシュプリキュア

プリキュアと人々の距離が近く、敵幹部とは心を通じ合わせ、正体は家族にも知人にも明かしている「フレッシュプリキュア」。

この作品で描かれる人間関係は学校という小さな枠に縛られず、ダンサーのミユキ、ドーナツ屋のカオルちゃん、ラビリンスのイースと外へ外へと広がりを見せていました。

そうしたプリキュア同士の絆を深める以外に目を向けた作風であるからでしょうか。OPでは同級生、両親、住民、敵幹部と沢山の人達が描かれていました。ここまで登場人物の幅を広げた演出は、後にも先にも「フレッシュプリキュア」だけでしょう。

プリキュアが守りたい人、プリキュアを支えてくれる人。その両方の存在をどこかにいる人ではなく、具体的に映像で感じさせてくれる「フレッシュプリキュア」のOPに惹き込まれます。

 

明るく楽しい日常を満喫する「スマイルプリキュア

皆で楽しそうにプリキュアをしていた「スマイルプリキュア」。大勢の人達を助けるより、身近な友達と一緒に思い出を作る。そんな日常を重視している作風は、OPの演出に反映されていました。

OPで非日常の存在であるプリキュアに変身するタイミングは45秒と遅く、戦闘に関してはギャグ調の表情で描かれる場合もあり、直接的な攻撃はキュアピースがアカオーニに向けて放った電撃のみ。

彼女達の戦う姿からは、命を懸ける程の重々しい雰囲気は全く感じられません。最初から最後まで楽しそうで、スマイルの名が与えられている作品に相応しいOPでした。

 

何度でも立ち直る「HUGっと!プリキュア

「何度でも起こすよきらめく奇跡」から始まるOP。作品を象徴する最初の一言に「何度でも」と再起を連想する言葉を持ってきました。そこにはチャラリートやパップルなど失敗を経験した人達が、新たな一歩を踏み出していく「HUGっと!プリキュア」の魅力が凝縮されています。

今迄のOPは「プリキュア」や「プリンセス」や「キラキラル」といった作中で多用される用語を最初に持ってきていた訳で、その方針から逸脱している「HUGっと!プリキュア」のOPは、かなり攻めた作りをしていると思います。

15周年記念作品でありながら、歌詞も映像もプリキュア感は薄い。妖精枠のハリハム・ハリーの出番も少ないですし、10周年記念作品の「ハピネスチャージプリキュア」の演出とは対照的です。

 

自分なら原点に立ち返ってプリキュア感を前面に押し出してしまいそうですが、スタッフがあえてそうした演出を選択しなかったのは、恐らくそれ以上に伝えたいメッセージがあったからなのでしょう。

ある意味でプリキュアシリーズの財産を活かせていないOPと言えますが、今を生きる視聴者と真剣に向き合い、作品単体の魅力を高めようとする姿勢は素晴らしい。

それはストーリーにも当て嵌まる話。過去作品のプリキュアを出しているものの、それに頼り切りになってはいません。事実として世間から注目を集めている回は、過去作品と無関係である率が高いんですよね。これって本当に凄い事だと思います。まだまだ回収されていない伏線も残されていて、最も先が楽しみな作品です。

taida5656.hatenablog.com

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