アニメごろごろ

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女児向けアイドルアニメと男性向けアイドルアニメから見える美少女のデザイン

漫画やアニメでは複雑な事情から美少女も普通の少女も判子絵的に似た様な描き方をされる事態が頻繁に起きています。正直に言えば顔に関してはどのキャラも殆んど同じに見えてしまうのですが、不思議と私達は美少女か否かを判別する事が出来ますよね。

不確実とはいえそれを可能にするのは、数百を超える数の美少女を見続けてきた経験。沢山の美少女に共通する要素を感覚的に理解しているから美少女を見分けられる。

ではその判別は具体的にどの様な基準で行われているのか。それを知る為にまずは美少女が多数登場するアイドルアニメやアイドルゲームから、美少女らしいキャラのデザインを考えていきたいと思います。ちなみにこの記事では各作品を比較した際の思考を羅列するだけで結論と言えるものでは出ません。

色々と中途半端な記事に意味があるのかは分からないですけど、これを切欠に他の誰かが何か凄い事を思い付くかもしれないので書き残しておきます。下に張り付けた画像はメインキャラの髪色を表したものです。


女児向けアイドルの美しさとは派手さにある

アイカツスターズ


アイカツ


プリパラ


プリティーリズムオーロラドリーム

女児向けの「アイカツスターズ」や「プリパラ」は鮮やかな髪の色が目を引きます。女児の色彩を認識する能力が発達途中にある関係で、大人向けの作品と比較して明るい原色に近い派手な色が幾つも見られます。男性向けでは黄は金の類似色で「ラブライブ」の絢瀬絵里の様に外国人の血を引いた容姿が優れた美少女に多いですが、女児向けでは主人公的な明るい性格の美少女を表す色でしかないみたいです。日本人に見えない赤や紫と奇抜な髪の色をしている美少女が大勢いる女児向けでは、黄の個性が薄れて外国人を意味する記号として使えないのでしょうね。

オシャレに関心を持ち始める女子小学生にとって、黒や白は地味に思われるのか髪の色には使われ難く、特に黒は日本人が生まれ持つ髪の色で平凡の象徴である為か、アイドルという日常から離れた特別な存在にはあまり使われません。携帯電話やランドセルに派手な装飾を施す傾向が強い女子小学生からしたら、日本人が持つ自然な黒い髪の色は赤や黄と比べて工夫が感じられず、相対的にオシャレに見えないのかもしれません。風紀委員長のみれぃがアイドルの姿に変身した際に、髪の色が地味な茶から派手な黄に変色することも、そうした意識が反映されているのではないかと思います。

名も無き無数のアイドル達の怨念から生まれたガァルルは黒髪、プリキュアに登場する女性幹部も黒が基調、女子小学生の黒に対する印象は輝かしいアイドルから離れた所にあるのでしょう。黒と白が地味に見えずに絶世の美少女が持つ髪の色と認識されるにはまだまだ月日が必要。中学生にもなれば黒と白の魅力に気が付き始めるんですけどね。

一応補足して説明しておきますが、先程の話はアイドルとしてのイメージの問題で、別に黒髪のキャラが視聴者から支持を得られない訳ではありません。キャラの人気は性格に左右されるものですから、外見的な特徴だけでは決まりません。

プリパラ☆ダンシング!!!

プリパラ☆ダンシング!!!

さて学研教育総合研究所の調査では女子小学生の好きな色は圧倒的にピンクと水色、その次に赤と青と黄、その下に紫と白と黒という結果が出ていますが、キャラの髪の色に関していえば紫も人気が高いですね。紫はミステリアスでエレガントな雰囲気を与える効果が高く、「アイカツ」ではトップアイドルの神崎美月に使われていました。

紫はプリキュアではミルキィローズにムーンライトにキュアソードと特別な立場の戦士に与えられ、特撮では闇を感じさせる色で王蛇やプトティラと凶悪な力を持つ者に与えられます。冠位十二階でも最も偉い者に与えられる色ですし、日本では昔から特別な意味を持つ色なのかもしれません。

髪型の特徴としてはアホ毛が少ない点とウェーブが多い点が挙げられます。ギャルゲーでは飽きる位に見てきたアホ毛ですが、あの数本だけ飛び出た髪の毛は傍目から見れば寝癖に等しいものですから、オシャレに気を使う女子には避けられてしまい、オシャレの頂点に君臨するアイドルには使われ難いデザイン。

普段はアホ毛が飛び出ているそふぃも梅干を補給してアイドルモードになるとアホ毛が消えます。男性向けと女児向けのアイドルものの差はストーリーではなく、デザインに表れていると言っても過言ではないでしょう。「アイカツ」や「プリパラ」は主な視聴者である女子小学生のオシャレに対する意識の高さが反映されているらしくウェーブにしたり、リボンを着けたり、髪を結んだりと工夫が凝らされています。

女子小学生のオシャレに対する意識の高さはキャラのデザインのみならずキャラの行動にも反映され、トップクラスのアイドルはファッションセンスにも気を遣い美を追求する姿勢も忘れません。男性向けでは自分を綺麗に魅せようと服装や仕草を考える姿勢は中々評価されない項目。美少女は生まれたままの姿でも美しいから美少女、容姿を綺麗に見せるのは二流という考え方は男性に多いのではないでしょうか。

個人的にはアイドル活動に真剣に打ち込んでいる「ラブライブ」の矢澤にこと「デレマス」の前川みくはもっと報われてもいいと思っています。観客の視線を意識している努力家の彼女達が何だか三枚目みたいな扱いをされて、アイドル活動に興味の薄い絢瀬絵里渋谷凛に追い抜かれるのは可哀想。



男性向けアイドルはおっぱいで描き分ける

アイドルマスターシンデレラガールズ


ラブライブ


Tokyo 7th シスターズ


アイドル事変

男性向けの美少女は同世代でもおっぱいの大きさに強烈な格差がある。これには男性視聴者の女性に対する欲望が透けて見えて不快感を示す方もいそうですが、デザインする側にとっては外見の差別化が出来るので助かる気はします。胸の大きさは大切な要素で、巨乳は男性に対して絶大な威力を持つ武器。

美少女の数が増えれば必然的に短髪とか眼鏡とか人気が低い属性を持つキャラも生まれてしまいますが、そのキャラに巨乳属性を付与して弱点を補うと人気のバランスが丁度良い具合に取れる。「ラブライブ」の東條希と「デレマス」の及川雫はその好例。全員の胸の大きさを平等にした場合に人気がどの様に変動するのかは見てみたいですね。

おっぱいで思い出しましたが、アニメ放送前の「ラブライブ」は男性に受ける為なのか、胸の谷間を強調するイラストが無駄に多いんですよね。穂乃果が浴槽でタオルを巻いているイラストなんて谷間どころか乳首が見える寸前。そんなμ'sがメジャーデビューして女子中高生のファンも増えてから、男性の性欲を満たす為だけの露出が減らされたのはアイドルの姿として妙にリアル。今でも露出の高い衣装や水着は描かれていますが、制服を脱いでいる時に身体を触るとか男性の妄想を詰め込んだイラストは少なめ。

黒髪は女児向けでは不人気ではありますが、男性向けでは昔から人気が高いです。黒髪は地味な代わりに清楚で純情な印象を与え、それ故にオシャレな女性を敬遠する男性視聴者から受けが良い。黒は落ち着きのある美少女と組み合わせれば鬼に金棒、そこにロングストレートを加えれば最強の美少女を生み出す破壊力を持ちますが、元気が取り柄で仲間を巻き込む力を持つ系の主人公と相性は悪い。

基本的にアイドルものでは主人公の性格は明るいので、髪の色も性格に合う明るい茶が選ばれやすいんですよね。「アイドルメモリーズ」でも「ラブライブ」でも「アイマス」でもメンバーの中心に立つアイドルの髪は茶でした。大雑把な視点で主人公色は女児向けでは黄、男性向けでは茶と考えておけばいいと思います。

アイドルものの中でも特にキャラの多い「アイドルマスターシンデレラガールズ」は、常識的に考えればキャラが多い分だけピンクとか奇抜な髪の色が増えそうなものなんですけど、意外な事に黒と茶と白と黄が大半を占めています。現実には無さそうな髪は輿水幸子の薄紫色、城ヶ崎美嘉のピンク色など極一部。年齢の差があるおかげで中高生のアイドルしか登場しない作品よりは描き分けが楽とはいえ、100人以上ものアイドルをデザインするのは相当骨が折れそうです。



女性向けアイドルはイケメンだけでは成り立たない

うたの☆プリンスさまっ


B-PROJECT


アイドルマスターSideM


MARGINAL#4

最後に美少女とは無関係ではありますが、女性向けアイドルもので描かれるイケメンについても触れておきます。女児向けと男性向けにおいて緑は使われる機会が少ないのですが、女性向けのイケメンには緑系統の色は結構な頻度で使われています。見る者の気分を落ち着かせる色である緑は、知的なキャラや大人なキャラと相性が良い為に割と使われます。そういえばザーボンも緑間真太郎もアンドロメダ瞬もリゼルグもイオン様も緑でしたね。

マジLOVEレジェンドスター

マジLOVEレジェンドスター

女性向けでは男性らしさとは無縁のピンクや女児向けでは不人気な白をイケメンに使う点が特徴、「アイドリッシュセブン」はその系統の色が約半数という驚きの白さ。白髪や銀髪は「あんさんぶるスターズ」の日々樹渉などロングになる確率が若干高いですね。イケメンはツインテールが使えないなど髪型の種類が少ない分だけ、ピンクや水色や赤と髪の色がカラフルになる傾向は強め。

使用される色の差は「デレマス」と「アイマスSideM」を見れば一目瞭然。髪の長さは額が隠れる程度はあるキャラが大半、セミロングのキャラの需要が高いらしく、スポーツマン並の非常に短い短髪は「アイマスSideM」以外ではほぼ見かけません。「アイマスSideM」は筋肉の付き方でも描き分けられているなど、女性向けとしてはやや異質なデザイン。元自衛官の信玄誠司なんかは男性から見てもいい身体をしています。

それ以外の外見的な特徴では眼鏡をかけたキャラが1割程度いる事が挙げられます。女児向けと男性向けでは眼鏡の割合は平均的に見れば1割に届かないです。地味な女の子が眼鏡を外したら美少女だったという古典的な演出の流れを汲むのか、男性向けのアイドルは日常生活では眼鏡をかけていたとしても、アイドル活動中は外してギャップを見せる方向に進んでしまいます。

眼鏡はアイドルの変装用の道具として使われはするものの、それがアイドルとしてのチャームポイントになるキャラは極めて珍しい。想像ですが「アイマス」の秋月律子に熱狂的なファンが多いと噂されるのは、その稀少性によるところが大きいのではないかと。

アイ★チュウ creation 02.POP'N STAR(通常盤)

アイ★チュウ creation 02.POP'N STAR(通常盤)

女性向けでは何故か登場する機会に恵まれている男の娘やオネエ。「アイチュウ」のポップンスター、「アイマスSideM」の水嶋咲、「うたプリ」の月宮林檎、「B-PROJECT」の夜叉丸朔太郎、「アイドリッシュセブン」の姉鷺カオル。立場はアイドルやマネージャーと作品毎に違いますが、どこかしらに女性の心を持つ彼等の姿は見られます。その背景には視聴者の女性達から無駄に女性キャラを増やされるのは困るけど、女性の感情を理解してくれるキャラは欲しいという要望でもあるのでしょうか。

男性向けの男の娘はどちらかといえば、女性の心を持つキャラより無理矢理に女装させられた秋月涼みたいなキャラの方が多い印象を受けます。まあ本当にそうなのかは、実際に調べてみなければ何とも言えませんが、この辺も考察する価値は高そうですね。話があちこちに飛んだ何が言いたいのか分からない記事になりましたが、アイドルものに対する意見は大体書けました。


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