アニメごろごろ

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ファンの情熱が利益に貢献しないアニメ業界のビジネスモデル

数日前からアニメーターの劣悪な労働環境が話題になっていますね。この十数年で市民権を得てきたアニメですが、そこで働いているアニメーターの待遇は一向に改善されません。アニメーターがアルバイト以下の低賃金で働かされる要因にはアニメ業界が儲からない事があるので、消費者がアニメーターを助けたいのであれば積極的に金を使えばいいわけですが、肝心の手段は主に円盤を購入する位しか与えられていない。正確に言えばグッズやCDもありますが、制作会社の取り分は非常に少ないんですよね。

円盤を購入したところで制作会社の取り分は極一部、そうなるとさすがにお布施目的で何枚も購入しようとは思えないので、円盤購入以外に制作会社に金を払う効率的な手段は欲しいですね。数万円分の円盤を買い揃える熱意は持たないものの、数千円ならお布施として渡したいと考えているアニメファンは割と見かけますし、制作会社が円盤以外での資金回収の仕組みを整える事が出来れば結構変わるのではないかなと思います。

高品質なアニメを作る事で有名な京都アニメーションufotableはそうしたビジネスモデルの構築に意欲的。ufotableは別格でカフェの経営、定期的に数万人が集まるイベントを開催、生動画販売と様々な方面に手を出しています。カフェでは作品のコラボメニューがあるのは当然として、制作者とファンの交流を深める為のトークショー、作品の最速放送に合わせてリアルタイム視聴会も行っています。

このカフェの経営は「Fate/zero」に「刀剣乱舞」に「テイルズ」と女性に人気の高い作品を中心に手掛けるufotableとの相性は抜群に良い。多分男性にしか受けない「まなびストレート」の路線に進んでいたら、ファンの交流の場とグッズの販売所を兼ねるカフェは成功しなかったでしょう。男性は女性と比較して仲間と共にカフェに入る文化は殆んど持たず、缶バッジやコースターみたいなグッズに対する購買意欲は低いですから。

Ufotableはこの様にアニメを作る事だけを仕事と思わずに地道な取り組みをした甲斐あって、年間の支援金額が数十万を越えるパーソナルスポンサーを何名も獲得しました。支援金額は番付が発表されているので気になる方は検索してみて下さい。ufotableは金に汚ない部分もある為にファンから批判されてはいるのですが、儲からないアニメ業界で社員に賃金を払うには仕方が無い部分もあるとは思います。

金を持つ大人が大勢視聴しているにも関わらず利益を殆んど出せない。人口が減少する事は避けられない以上、値段を変更でもしない限りは購買意欲の高い視聴者が劇的に増えるとも思えませんし、ufotableみたいに熱狂的なファンの消費金額を増大させる必要はあるのではないでしょうか。

個人的にはアニメが放送して間も無い頃に金を払える機会が設けられているといいですね。現状は円盤が販売されるのは放送から3ヶ月後、アニメを円盤を宣伝する通販番組としたら有り得ない展開の遅さ。アニメは終盤になるに連れて作画も脚本も粗が見え、ファンの熱が冷める事が割とあるので、その前にファンから金を集められると資金回収の効率は上がる気はします。放送前にクラウドファンディングを開始した「迷家」はそこに関しては非常に優れていた作品でした。

アニメは権利関係が複雑なので制作会社が自由に行える事が何なのかは分かりませんが、支援金を募る対価に描き下ろしイラストのプレゼントなんかがあると個人的には嬉しい。アニメ業界が悪意を持つ連中の違法配信で損害を被るのであれば、その損害を補う為に善意を持つファンを今以上に活用する位の事はしてもいいかなと思います。


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