アニメごろごろ

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オススメするライトノベルのコミカライズ作品10選

画力と構成と絵柄の他に漫画版にしかない魅力があるかどうかが評価基準になります。絵柄が原作絵に似ていて脚本の構成も優れた良質なコミカライズだとしても、「狼と香辛料」や「とらドラ」みたいにアニメが良作でそれと同等の価値がある場合には評価は低めにしています。

聖剣の刀鍛冶
絵が綺麗な上に原作絵の雰囲気を残しているという事で評判が良いコミカライズ。原作小説が10巻を越える長編になるとコミカライズはほぼ全てが中途半端に終わりますが、これは駆け足気味とはいえ最後まで描かれそうなので漫画版だけ追い掛けても楽しめます。5巻にあるシーグフリードがセシリーを凌辱する場面は漫画でやれないだろうと考えていたのですが、山田孝太郎先生はそこを省略したりと適当に誤魔化したりせずに描いてきたので面喰らいました。


紫色のクオリア 1 (電撃コミックス)

紫色のクオリア 1 (電撃コミックス)

紫色のクオリア 全3巻
発売から5年以上経っているというのに未だに書店に置かれる名作「紫色のクオリア」のコミカライズは挿絵も描かれた綱島志朗先生の手によるもの。コミカライズにありがちな絵柄の違いから、原作小説の雰囲気を壊す恐れは皆無。イラストレーターの中には漫画は苦手で描けない方もいますが、綱島先生は漫画家としての経験が長いので完成度は高いです。原作小説では淡々と説明されていた平行世界の出来事を絵で見れたのは良かったですね。


ブラック・ブレット 全4巻
原作小説1巻を4巻かけて丁寧に描いています。絵柄は鵜飼沙樹さんとは微塵も似ていませんが、画力と構成力はずば抜けています。原作小説をそのままなぞり漫画にするだけでは終わらず、中盤からはオリジナル展開も追加して原作ではかませ犬でしかない伊熊将監に見せ場を作り、原作とアニメではあっさりと幕を閉じた影胤との戦いは100ページを越えます。

コミカライズは動きも色も音もあるアニメの下位互換になる場合がありますが、この作品に関してはアニメとは別の魅力を持っていると断言出来ます。オリジナル展開はどうしても賛否両論になる部分ですが、原作小説よりも面白いという声さえ上がる程の素晴らしい出来です。

スピンオフの「ブラック・ブレット インタールードファッキュー」も傑作なのでお勧め。デフォルメキャラによるギャグでは笑いより萌えが売りのほのぼのとした作風のものが多いですが、これは商品説明にクレイジーと書かれるような危ない代物。そこらにいる読者よりも原作小説を読み込まなければ出せないであろうマニアックなネタの数々、ダークストーカーにハミングバードとアニメには出ていないキャラまで登場させたりと、普通のスピンオフならまずやらない事ばかりやる意欲的な作品。


僕は友達が少ない 1 (MFコミックス アライブシリーズ)

僕は友達が少ない 1 (MFコミックス アライブシリーズ)

僕は友達が少ない
原作絵とアニメではヒロインの顔を何時如何なる時も美少女として描いていますが、漫画版ではわざと顔を崩して描いているところが印象的ですね。可愛らしい絵柄にして読者を萌えさせるよりも、馬鹿な事ばかりしている隣人部の面々の残念さを強調させる為に変顔も描き、ギャグ漫画として本気で読者を楽しませようという気概を感じます。原作絵にはまるで似ていない点に目を瞑れば良作なのは間違い有りません。


無職転生
小説家になろう累計ランキング1位の「無職転生」。道を踏み外して家族からも見捨てられたキモオタニートの主人公がトラックに轢かれて異世界転生、新しい人生では二度と後悔しない様に本気で生きようとします。主人公が大人の頭脳と魔法の才能を武器に活躍する姿は読者の全能感を満たしますが、この作品はそれとは真逆の主人公の過酷な現実に心が折られる姿も見せます。

魔法の才能に恵まれ周囲にも認められ勝ち組の様な人生が送れても、人間の本質はそう簡単には変わりませんから、主人公は自分が簡単に行える事以上の困難にぶつかると挫けてしまいます。単純に主人公の強さを見せて読者に爽快感を与えるだけにならず、調子に乗る主人公に駄目人間である事を痛感させる刺のある作風が魅力。原作小説では独白と台詞が中心で風景や表情や仕草はあまり描写されていないのですが、フジカワユカ先生がそこを見事に絵で補完しているので読み応えがあります。



盾の勇者の成り上がり 1 (MFブックス)

盾の勇者の成り上がり 1 (MFブックス)

盾の勇者の成り上がり
小説家になろうのコミカライズ作品では、これも非常に質が高いですね。とある事件により心が荒んだ主人公と戦えない主人公の代わりに魔物を殺す奴隷少女は、共に旅をするうちに絆を深めて互いが抱える心の傷を癒していきます。主人公が世間から疎まれたりと鬱展開もありますが、それがあるからこそ主人公を支える奴隷少女の美しさが際立ちます。「無職転生」も「盾の勇者の成り上がり」も漫画版はコミックウォーカーで無料公開中。


ソードアート・オンライン プログレッシブ
原作小説がキリト視点で進むのに対して、漫画版はアスナ視点を中心に作り直されています。原作小説ではあまり触れられていないアスナの内面が描かれているので、これを読めば「とある魔術の禁書目録」と「とある科学の超電磁砲」の様に互いの作品が補完して深みを増します。これは比村奇石先生に物語を作る能力が無ければ絶対に書けない。
失礼ながら1巻の表紙を見た時にはそんなに面白そうとは思えなかったのですが、最初の数ページを読んだ瞬間にその認識が誤りだと気付きました。これは良い意味で表紙詐欺ですね。あの可愛らしい表紙からあそこまで迫力のある戦闘が描かれるなんて思いもしていませんでした。


灼眼のシャナX Eternal song 遙かなる歌 全5巻
原作小説10巻のコミカライズ。先代の炎髪灼眼の討ち手マティルダヴィルヘルミナが主人公。悠二やシャナの出番はありませんが、仮装舞踏会の三柱臣や後にシャナを鍛える白骨は活躍します。クリーチャーのデザインセンスが優れている木谷椎先生が描き出す紅世の徒とフレイムヘイズの戦いは必見。

木谷椎先生は「とある科学の超電磁砲」の大覇星祭編で御坂と上条さんの戦闘中に現れた竜王の顎のデザインもしていると聞けば、その実力がどれ程のものか分かる方は多いのではないかなと思います。アニメでは語られていない物語を端折らず丁寧に描いているので、原作小説は読むのが面倒だけど作品には興味がある方に勧めます。


クロス×レガリア(1) (ファミ通クリアコミックス)

クロス×レガリア(1) (ファミ通クリアコミックス)

クロス×レガリア 全2巻
原作者はアニメ化もした「レンタルマギカ」の三田誠先生。作画担当の成家慎一郎先生はネットで話題になった進研ゼミのママの産みの親。成家先生は作品毎に絵柄を変えられる器用な漫画家で、「アブソリュート・デュオ」と「STEINS GATE 無限遠点のアークライト 」を読んだ時には作者が同じだとは気付きませんでした。記事を書いていて感じた事なんですけど、綱島先生にフジカワ先生に成家先生と腕利きの漫画家には、ガンガン系出身が割といるみたいですね。


マージナル・オペレーション
平和な日本に住んでいた主人公が記憶力とシミュレーションゲームの経験を活かし、戦術オペレーターとしての才能を開花させ殺し合いのある戦場で活躍する物語。幅広い層に支持されるアフタヌーンに連載されるような作品なので、オタク向けに抵抗のある方でも読めると思います。原作小説よりもキャラの人間味とドラマ性が増していて面白いと評判の漫画。これだけ読んでも十分楽しめるというか、人によってはこちらの方が面白いと感じられるかもしれません。1巻では単純なデスクワークばかりで地味ですが、2巻から物語が急に動き出して銃撃戦も描かれ盛り上がります。


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