アニメごろごろ

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「無彩限のファントムワールド」は京アニの新境地を開いたかもしれない

アニメ化が決定した「無彩限のファントムワールド」の小説を読了。「無彩限のファントムワールド」の世界観はある事件を機にファントムと呼ばれる幽霊や妖怪、それらに対抗する特殊能力を持つ子供達が現れたという異能力バトルものにありがちなもの。最初に公式サイトのあらすじを読んだ時には「境界の彼方」と同系統の異能力バトルという印象を抱いていましたが、実際に小説を読んでみると「境界の彼方」とは作風が似ても似つかない。何が違うのかと聞かれて真っ先に思い浮かぶのはエロシーンの量。

例えばファントムを誘い出す為に舞と玲奈が水着姿になったり、タコに襲われた舞のTシャツが濡れて半透明になって深い胸の谷間が見えたり、晴彦が着替え中の小糸の裸体を目撃したり、晴彦が瑠波の尻の割れ目の奥に指を滑り込ませたり、酷いものですと舞がパンチラした時にある部分の毛が見えたという描写があります。主人公の晴彦が相当性欲にまみれた性格をしていて、ヒロイン達を性的な視線で見てばかりいるので、それに関する描写が頻繁に出てきます。

晴彦の異性に対する興味は秋人の眼鏡に対するそれと同程度と考えれば、それがどれだけ酷いか大体想像出来るのではないでしょうか。ちなみに挿絵は健全なものが中心ですから過度な期待はしない方がいいですよ。エロが目立つ作品なんですけど、挿絵は地の文の説明と比べてエロを控える描き方をされています。

この手のサービスシーンはライトノベルには珍しいものではありませんし、それらがアニメ化するのも日常茶飯事なんですけど、京アニがこの様な作品をアニメ化するのは異例の事態。京アニが制作した萌え系のアニメとしては「けいおん」と「らきすた」がありましたが、これ程までにエロを見所にしたものは見られません。「甘城ブリリアントパーク」が割とこれに近いですけど、深夜アニメの中ではそんなにエロいとは言えないかなと個人的には思います。

近年の京アニは男同士の友情が女性視聴者から支持された「Free」、萌えすらない古き良き商店街の日常を描いた「たまこまーけっと」、異能力バトルの王道を突き進む「境界の彼方」とそれまであまり縁が無い系統の作品を手掛けていましたが、「無彩限のファントムワールド」もそれらと同様に京アニの新境地となりそうです。ただこれが商業的に成功するのかというと中々に厳しい気がします。

この作品ではエロ以外にもシュレディンガーの猫やフットインザドアテクニックや意味記憶五行説等の幅広い分野の知識が盛り込まれ作者の博識さは窺えますが、それらの専門知識が物語と密接に結び付かずに単なる知識の羅列になる箇所も見られるんですよね。SFとしても楽しめる「魔法科高校の劣等生」や「SAO」の域には達していないので、正直に言わせてもらうとKAエスマ文庫以外ではアニメ化までは行けないでしょうね。

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京アニは「たまこまーけっと」に「MUNTO」とオリジナル作品になると視聴者からの評判が悪いですが、原作付きの作品を手掛ける場合には原作超えの傑作を生み出しますから、この作品もアニメになると化けるかもしれません。それを可能にするのは映像が素晴らしい事に加えて、脚本家と監督が作品を上手に調理するおかげ。

「Free」と「中二病でも恋がしたい」は原作小説の設定の一部を引き継いでいるだけで、アニメではキャラの年齢も違えばアニメのみのキャラも多数登場していたりと、原作とは殆んど別物とはいえ商業的には成功しています。京アニはそうした改変が非常に上手いので「無彩限のファントムワールド」もアニメになると想像以上に面白いものになるのではないかと密かに期待しています。それにしても京アニは自社からフィギュアを出したり小説を出したり、「氷菓」や「響けユーフォニアム」と旬を過ぎた作品をアニメ化したりと、普通なら行わない分野に挑戦するのが好きですよね。

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