アニメごろごろ

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「アイドルマスターシンデレラガールズ」は最高にロックな物語


「デレマス」は「アイマス」とどの辺りが差別化されているのか、細かい違いは挙げられても核心に触れそうな答えが見えていなかったのですが、最近自分の中で腑に落ちる答えが見つかりました。それは「デレマス」はロックであるという事です。これだけだと何を言っているのか伝わらないので、少し長いですが説明したいと思います。

2クール目から登場した悪役の美城常務はアイドル部門をより効率的で成果の出る構造に作り変えようと動きます。美城常務は実力のあるアイドルには、それに釣り合う大きな仕事を与えて、小さい仕事は他のアイドルに回したり、自分の考えるブランドイメージに合わないアイドルの振る舞いを改めさせたりしています。それは効率的なのかもしれませんが、アイドルの気持ちを蔑ろにしている場合も多いので、そんな美城常務の方針に不満を抱き反発する者も現れます。

高垣楓は美城常務から大きな仕事を与えられエリートコースに進む事も出来ましたが、美城常務の方針に従うと本当にやりたい仕事が出来ないからと大きな仕事を断り、小さいけれど自分が本当にやりたいと思える仕事の方を選びました。大きな仕事をすれば知名度が上がり新規ファンを得られたと思いますが、それよりも売れない時から自分を応援していた古参ファンを大切にする仕事を優先したのが高垣楓

安部菜々はウサミン星からやって来たウサミンという設定を上からの命令で封じられましたが、それまで作り上げてきた自分のキャラを捨てる事に心の底では納得していませんでした。そして自分に憧れる前川みくの後押しを受けた彼女は、安部菜々として仕事を請けたイベント中にも関わらず突然ウサミンとして振る舞います。

城ヶ崎美嘉はタイアップの広告に用いる写真撮影の際に女子中高生から絶大な支持を集めるカリスマギャルではない、落ち着いている大人らしいポーズをカメラマンから求められました。最初は仕事だから仕方ないと受け入れそれに応じていましたが、それは自分らしいとは言えないと考えて自分の持ち味であるギャルらしいポーズを取ります。

本格的に物語が動き始めた2クール目にはこうした展開が続いています。本来なら従わなければならない上からの命令を無視して、業界から追い出される危険も顧みずに、自分の選んだ道を突き進む彼女達の生き方はロックだと思います。権力に従い仕事を言われた通りにこなすのか、それよりも自分の信念を優先するかと悩んでいる展開は、社長が自由に仕事をさせていた「アイマス」には殆んど見られませんでした。

こんな無茶苦茶な事をやりながらも安部菜々はイベントをしっかりと盛り上げ、城ヶ崎美嘉はカメラマンの心を動かして広告にもその写真を使わせてしまいます。自分の信念を貫きながら結果もきちんと出して、周りの空気を自分の都合の良い方に変えてしまえる。そうしたカリスマ性を持つ者こそ真のアイドルではないでしょうか。

そんな先輩達に憧れるシンデレラプロジェクトのアイドル達が何を目指すのか。その中でも武内Pに頼まれてアイドルになり目標も信念も持たない渋谷凛がどうなるのかは気になりますね。先輩達は既に誰にどう見られているのか自覚を持ち、自分をどういう風に売り出すのか決めていますが、彼女達はまだ売り出し始めたばかりで方向性が見えません。自分らしさとは何かを考え抜いてアイドルとしてそれをどう表現すればいいのか、そこが2クール目には描かれるのではないかなと考えています。

ところでシンデレラをモチーフにしているのにOPに描かれる衣装はお姫様というより王子様みたいなんですけど、それはこの作品が誰かに決められた役割から逸脱する物語である事を表していたりするんですかね。あれには武内Pという魔法使いに頼り王子様を待つだけの女の子にならず、王子様の様に積極的に自分の手で欲しいものを掴み取れという意味が込められているのかもしれません。


「デレマス」と「アイマス」における役割が被るアイドルは誰と誰か
物語を作る上で扱いやすいキャラには幾つかの類型があるからなのか「デレマス」と「アイマス」ではキャラの性格や役割が被ります。地味なところはあるけど明るい前向きな性格で仲間思いな天海春香島村卯月、純真な心を持つ子供らしいところは妹的ですが家庭ではお姉ちゃんという高槻やよい赤城みりあ

殆んど被りはしていませんが食いしん坊な四条貴音三村かな子、感情的になり喧嘩もする短髪の菊地真多田李衣菜星井美希のだらだらしているけど才能はあるという部分は双葉杏、望んだ仕事が貰えない事に不満を抱きプロデューサーと衝突する部分は本田未央前川みく萩原雪歩のプロデューサーとまともに会話を出来ない部分は神崎蘭子、気弱で自信が無さそうな部分は緒方智絵里

「デレマス」は「アイマス」よりも人数が多い事もあり、与えられる役割が複数のアイドルに分散されていますね。アニメに登場していないアイドルはまだまだいるので「アイマス」にいるアイドルと被らないようにするのは簡単だと思いますが、そうしないところを見るとコメディにしろシリアスにしろ面白い物語を作ろうとすれば自然とキャラはどこかしら似た部分は表われるものなんでしょうね。

しょうもない話なんですけど765プロのアイドルには星井美希四条貴音秋月律子三浦あずさと巨乳が多いと思えるのですが、シンデレラプロジェクトのアイドルには巨乳がいるという印象があまり無いんですよね。諸星きらり三村かな子はバスト90を超えているのですが、縦に大きかったり横に広かったりするから、ついつい目をそちらに奪われて巨乳という事を忘れてしまいます。

身長とバストとウエストから考えると前川みく星井美希に負けていませんし、本田未央もそれなりにあるはずなんですけど、本編でそこに言及されないからあまり記憶に残らない。「アイマス」では如月千早が胸囲の格差をネタに周りの巨乳を引き立てていましたが、「デレマス」にはそれがないからというのが最も大きな要因なのかなと思います。