アニメごろごろ

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クロロ=ルシルフルにとって盗みは仲間や自分の命より重い

HUNTER X HUNTER11 (ジャンプ・コミックス)

HUNTER X HUNTER11 (ジャンプ・コミックス)

クロロが幻影旅団団長を続ける理由が分からない。大きな事を成し遂げる為に組織を設立して指揮系統や規則を設ける意味は理解しているので、その視点で考えた時に大規模な盗みを働きたいクロロが幻影旅団を立ち上げて団長になるのは理屈の上では分かります。ただそれはクロロが自分の感情を抑えて、大切な仲間を駒にしてまで必死に取り組む必要があるのかと疑問に思うんですよね。クロロの窃盗はゾルディック家の暗殺と違い家業でもない趣味なので、団長として振る舞わず本当の自分をもっと出してもいい気がします。

クロロには冷静に物事を判断して時に冷徹な決断を下す団長の顔とは別の顔があり、その顔は単独行動中にネオンに占われた時やシルバやゼノと戦っていた時に表れていました。この時のクロロはウヴォーの死を思い出して涙を流したり、普段は呼び捨てにしていたウヴォーをウヴォーさんと呼ぶなど、団長の役割に徹するクロロの時とは態度が違い、話し方も表情も砕けていて柔らかいんですよね。こちらが本来のクロロになるのですが、作中ではこの姿を団員の前で見せていません。

クロロが団員に本来の自分を見せないのか理由は明言されていませんが、クロロの「オレも旅団の一部。生かすべきは個人ではなく旅団」という旅団の頭である自分さえも旅団を機能させる為の駒と捉える発言から推測すれば、クロロのあの振る舞いは幻影旅団という組織を活かす為に必要な事だからです。それだけの為に幻影旅団結成以前からの付き合いがある家族の何倍も強い絆で結ばれている仲間に対しても、時に団長として非情な態度を取る感覚は理解に苦しみます。

別に自分の個人的な感情を表に出してはならないなんて誓約もしていないのですから、ゲンスルーみたいに明確な上下関係を作らないで仲間と対等に接しても問題は無い訳で、ゴンやキルアがそうである様にクロロも団員を友達として扱いながら窃盗を続けても構わないはずなんですよ。そんな風に対等な立場で仲間と感情を共有する方が普通に考えて楽しいですからね。それなのにクロロは何故か仲間と上下関係を作り出し距離を置きます。ウヴォーの死を仲間と共に悲しみ、仲間の命を最優先する生き方を選べるはずなのに、その道を捨て去り盗賊団の本分を優先してしまえる。

こんな真似は幻影旅団より団長の命を守りたいと考えるパクノダやマチには出来ないでしょうね。団長の命よりクラピカを殺して幻影旅団の存続を重視するフィンクスでさえも、その思想の根底にあるのは団長に対する忠誠心ですから、盗みそのものに全てを懸けてはいません。それを考えるとクロロの奪う事に対する意思の強さは幻影旅団の中でも常軌を逸していますね。そんな人間だから他者の能力を盗むなんて特殊かつ強力な能力を編み出せたのかもしれません。