アニメごろごろ

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アニメにおける雲の役割

SHIROBAKO」に好きな雲の形に関する話題が出るし、ukkahさんも雲の形に関する記事を書いているし、自分でも何か書きたいなと思ったんですが雲の形については何も書けませんでした。まあ思いつかないものは諦めるしか無いので、自分なりの視点で雲の話をしたいと思います。


雲が晴れることの意味
基本的な話ですが空模様というのはキャラの心情や物語の流れを反映しています「SHIROBAKO」の二番目のOPにもある表現ですね。曇り空は陰鬱な暗い話の時に頻繁に用いられ、そこから事態が明るい方向に進む事を暗示する時には、雲が晴れて陽光が射し込み空もまた明るさを取り戻します。この曇り空から晴れ空という変化は、白黒の漫画と異なりカラーのアニメでは灰色から青色と色彩の変化も加わり、その色の効果によって視聴者の心理面に与える影響は増すと思われます。

ちなみに事態がより暗い方向に向かう時には雨が降り始めたり、雷が遠方で鳴る事によって表現されます。雷が近い場所に落ちる時はこれから何かが起きるよりも、何かが起きた直後に使われますね。殺人事件の現場を発見するとか。


物言わぬやられ役
攻撃の余波が雲を突き抜け吹き飛ばす。威力の高さを示す為にこうした周囲のものを攻撃に巻き込む技法があります。ここで建物や山を破壊すると証拠が残り大事件になったりしますが、雲を吹き飛ばすだけなら器物損壊にも自然破壊にもならず周囲の迷惑になりません。

被害が無いというのは善人である事を強いられがちな主人公にとっては地味ですけど大事な事柄ですね。これと最初に書いた技法の併せ技が「まどかマギカ」の最終回に用いられています。もしあそこで雲を吹き飛ばす程の派手な演出にしていなかったら、魔法少女になったまどかの凄さが伝わらずカタルシスも弱まったのではないでしょうか。


流れる雲でスピード感を出す
ナルト疾風伝」の二番目のOPやufotable版の「Fate/stay night」のOP等、これはOPに用いられる事が多く、建物等の動かない物体しか映されていない時やキャラの動きを控えながら映像にスピード感を出す際に役立ちます。

テンポの速い曲では映像にも動きを与えた方が合いますが、だからといって常にキャラを動かし続けるのは労力を要しますし、戦闘場面等の見せ場でキャラを動かした時の印象が薄れてしまいます。動かしてこそのアニメではありますが、やはりメリハリは大事ですからね。スピード感を出したいけどキャラの動きは抑えたい。そんな時には背景の雲を状況に応じて前後左右に動かし調整していきます。


雲の配置で視線誘導
アブソリュートデュオ」の告白シーンでは雲を画面全体に無秩序に配置せずに隅に偏らせます。告白する時の様な大事な場面では緊張と集中から、まるで世界に自分と相手しかいない風に感じる時があり、それを表すかの様に画面の焦点も二人を基点にしていますね。そしてその空気を読んだ雲は二人を取り囲む様に散らばります。

これは一例にすぎませんが、自由自在に動かせる雲はこうした空間に適した位置に配置可能な為に、雲の多い場所と少ない場所を設けて画面に境界を作り、視聴者に注目して欲しい箇所を際立たせる事が出来ます。それによって画面全体の調和を取ったり視聴者の視線誘導を可能にします。この様に雲は引き立て役としてお役立ちである事は、ご理解頂けたと思うのですが如何でしょうか。


最後に全然関係ない話なんですけど「SHIROBAKO」のチャッキーの毛色は途中から灰色に変わっていたんですね。最初は吹雪の場面だけで使う予定だったから背景に似合う青系統にしたけど、途中から出番を増やす事にしたからあらゆる場面に馴染む様に針鼠本来の自然な色にしたとかのでしょうか。