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知り合いでも何でも無かった友奈と東郷さんに勇者や大赦のことを一切話さず、勇者として戦わされる道に引き込んだ風先輩のやったことは大赦とほぼ同じです。自分と友奈達が戦わずに勇者候補のまま終わる可能性があったからといって、それは友奈達に事情を話さず巻き込んでいい理由にはなりません。勇者のお役目は普通のボランティアとは背負うものの重さも降りかかる危険も規模が違いますからね。東郷さんが風先輩を責めたのも当然の反応でしょう。
ただ友奈の方は戦いに巻き込まれたおかげで風先輩や樹と出会えたと肯定的に捉え、風先輩の行いを許しているから視聴者もそこを気にせずあまり問題視しませんが、やっていることは大赦と大差無いので風先輩が大赦に騙したと怒るのはお前が言うなとは思わないでもない。まあ風先輩のそういうところも含め人間味が感じられて大好きなんですけどね。「結城友奈は勇者である」だと風先輩が多分一番好きな気がします。犬吠崎姉妹は心理も過去もしっかりと描かれていますし、何を感じているのか全然読めない精神構造が謎過ぎる友奈よりもよほど感情移入しやすい。
大赦は酷い組織なのだろうか
大赦は視聴者から悪者に見える様に作られていますが、実はそんな悪い組織でも無いんじゃないかなと最近思い始めています。満開後は傷病手当金みたいな金銭的な援助をしているとか細かいことは幾つかありますが、個人的に重要だと思うのは以下の二点です。
可能な限り身内から勇者を選ぼうとはしていた
大赦が勇者を集めなければ世界は守れない
友奈達みたいな大赦と無関係の少女が勇者に選ばれるようになったのは、大赦が身内から勇者を出す余裕がないからです。この人材不足から勇者候補の範囲が拡大したのは仕方が無いことでしょう。神樹を守ることが人類が生き延びる唯一の手段ならば、大赦側の人間達だけが犠牲になるというのも変な話ですし、神樹の恩恵を受けている人間全員に戦う義務はあるので、大赦外から勇者を選出するのはまあ自然な流れだと思います。
何も知らされず勇者になった少女だけが人類存亡を懸けた戦いをさせられるのは可哀想な話ですが、それは大赦が全面的に悪いとは言えず供物を要する神樹の在り方にも問題があります。散華に伴う身体機能の喪失を隠すのは確かに卑怯だと思いますが、真相を話せば勇者になろうとする少女が集まりませんし、勇者適性のある少女を選ばなければ人類滅亡になるから止むを得ない部分はあるかと。
大赦に問題があるとすれば散華の秘密を隠したことよりも夏凜以外に増援を寄越さないところでしょう。風先輩の説明を聞いていると勇者候補は他にもまだいるみたいですし、彼女達を呼び出し満開せずともバーテックスを封印出来るだけの戦力にするのが正しい方法なんじゃないでしょうか。大赦が勇者になり戦わされる人間は出来るだけ少ない方が良いという方針からの対応なのかも知れませんが、そういうわけでも無いなら戦力は全投入した方が敗北等のあらゆる危険は減らせると個人的には思うのですがどうですかね。
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話は変わりますが死ぬ事も出来ず壊れるまで延々と戦い続ける勇者の運命が残酷なものだとしても、親友をそんな目に合わせない為に神樹を滅ぼし世界を終わらせようとする東郷さんはやりすぎだと思う。この手の主人公達が戦わなければ世界が滅ぶ設定だと、東郷さんみたいな行動は自己中心的にしか感じられないのが欠点かなと感じます。
これが戦いから逃げると世界の半分は滅ぼされるとか、世界が滅びるまでに数年は掛かるとかであれば、僅かな時間を得られ戦いから逃げる意味はあります。けれど自分達が逃げれば即世界滅亡となるのであれば、戦う以外に道は残されていないじゃないですか。
東郷さんの行動は大切な親友の命を守れないどころか、世界を守ろうとする親友の意思を蔑ろにすることになり、さらに世界も道連れにするから正義が一切感じられない。例えば「まどかマギカ」のマミさんが魔女との戦いを放棄して仲間の魔法少女を皆殺しにするのは、自分達が何時か魔女になり人々を襲うのを止めることに繋がり意味はあります。「ぼくらの」であれば戦わずに敗北を選ぶと自分達の世界は滅んでも、代わりに別の世界が生き延びることが出来ます。
ぼくらの コミック 全11巻完結セット (IKKI COMIX)
- 作者: 鬼頭莫宏
- 出版社/メーカー: 小学館
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おかげで夏凜は一人で奮闘し何回も散華する破目になりました。最終的に皆の身体が戻ったから良いけど、そうじゃなかったら後味が悪過ぎる。あと散華により視力を失ったはずの夏凜が普通に戦っていたのが気になったんですが、見返してみると夏凜は初登場時から敵の気配を読み目眩ましを物ともしない強者だったということに気付きました。