アニメごろごろ

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「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ 栄光のヤキニクロード」感想

劇場映画シリーズ第11作目
監督 水島努


ギャグに特化した「ヤキニクロード」
劇場版では「オトナ帝国」以降は感動要素を売りにした作品が作られることが増えましたが、この「ヤキニクロード」にはそうした要素は一切有りません。全編通してギャグ、ギャグ、ギャグと観客を笑わせることに偏った作品となっています。劇場版はかなりの数が出ていますが、楽しいものを見たいのであれば「ヤキニクロード」が最適です。

この作品では野原一家の目的が悪の組織を倒して世界を守る為でもなければ家族を守る為でも無い、家に帰り高級焼肉を食べたいだけという馬鹿馬鹿しいものになっていたりと、ありとあらゆる部分がギャグに寄っています。このしょうもない目的の為に奮闘するストーリーが作れることが「クレヨンしんちゃん」の面白いところ。「ドラえもん」や「ポケモン」にはこんなストーリーは絶対に作れないでしょう。

クレヨンしんちゃん」はギャグアニメであるからか製作陣が行えることの自由度が常識では考えられない程に高い作品なので、普通の作品には見られない映像表現や物語展開があるのが良いですね。焼肉の旨さをあれだけの尺を取って表現するなんて常軌を逸しているとしか思えない。

疾走感溢れる逃走劇
この映画の魅力の一つはギャグですが、もう一つ大きなものとして疾走感が挙げられます。
上の画像は自転車に乗り山を駆け下りる場面ですが、この静止画を見るだけでも伝わるのではないかと。これとジェットコースターに乗り敵から逃げ回る場面が、映像面では劇中において圧倒的に優れていたと思います。あのジェットコースターが動き始めてから急降下するまでの緊張感というものを効果音や音楽の力により見事に表現されているんですよね。

クレヨンしんちゃん」にはジブリ作品や新海誠作品の様な細部まで描き込まれた背景なんてものは存在しないので、一枚絵から得られる情報量はかなり削られ簡略化されているのですが、その様な手間の掛からない絵であっても演出等により十分魅せることが出来る。アニメの面白さは必ずしも絵の綺麗さだけでは無い事を再認識させる映像でした。


野原一家の無意味な抵抗
有限会社スウィートボーイズを裏切った白衣の男が野原一家に託したあるものを奪い返そうと、スウィートボーイズの幹部達は野原一家を執拗に追いかけます。そして野原一家は自分達は白衣の男から何も渡されていないから巻き込むなとボスに直接話をして、誤解を解こうと敵本拠地に向かいます。この話を聞いて不思議に思った方もいるのではないでしょうか。

これ捕まったところで連行されるか自分達の足で向かうかの違いしか生まれないので、ぶっちゃけ結果だけで判断するなら抵抗は徒労でしかないんですよね。全国指名手配されたり、変装の為に女装してヒッチハイクしたり、セグウェイに追いかけられたりと派手にやりましたが、それらは全部必要が無かったという。まあ逃げ回ったおかげで空腹になり焼肉の美味しさが増すでしょうけど。全ては焼肉の為の準備運動程度の価値しか持たなかったという訳の分からない脚本なんだけど、これがとっても面白いから困る。