アニメごろごろ

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「魔法少女まどかマギカ」のキュゥべえは一流の悪役でありコメディアン

魔法少女まどか☆マギカ キュゥべえ (ノンスケール 塗装済みソフビフィギュア)

魔法少女まどか☆マギカ キュゥべえ (ノンスケール 塗装済みソフビフィギュア)

まどかマギカ」では魅力的なキャラが多数いましたが、その中でもQBは特出して優れていたキャラだと個人的には思っています。敵役というか悪役としてあれ程個性的なキャラは中々見かけないですね。

主人公視点で見れば少女達を騙して罠にはめるし、自分の目的を達成する過程で人類が滅びても心を痛めない酷い奴なんですけど、基本的に嘘は吐かずに宇宙の為になる事を行っているし、契約は守るので悪とも断じることは出来ないんですよね。ここら辺の匙加減が物凄い上手かった。

明らかに嘘をついていたり契約を破棄していれば、視聴者もQBを悪だと言えてスッキリするんですけど、グレーゾーンにいるQBにはそれが出来ないから余計に腹が立つという。QBが人間にとって害悪でしかないかというと間接的に人間社会を新たなステージに進めているからそうとも言えず、この存在を否定したいけれど出来ない立ち位置にいるところがQBの魅力。仮面ライダー王蛇や志々雄真実みたいに平然と悪を為す格好良い悪役や、戸愚呂兄や妖精王オベイロンみたいな小物臭漂う悪役とも違った何とも言えない悪役としての在り方が興味深かったです。

あとはQBを暴力で排除出来なかったというのも押さえておきたい部分ですね。殺したところで似た様な別個体が現われるだけで問題の解決にはならず、感情が無いので説得されて改心したりもしない。大抵の悪役はそうやって退場していきますが、そのどちらにもならなかったQB。まどかの世界改変によってQBは魔法少女との付き合い方が若干変わり敵対せずに済みましたが、隙あらば魔法少女を利用出来るところまで利用しようという姿勢は変わっていません。善と悪の対立でも善と善の共存でも無い、殲滅することも和解にすることも不可能な相手との付き合い方として興味深い結末でした。

そんな悪役としてQBの話はここまでにしてコメディアンとしてのQBを語りたいと思います。今回の記事で言いたいのはむしろこちらの方。QBって執拗に契約を迫ってきてウザいし、悪びれない姿が見ていてイラッとするので、視聴者からは「コイツぶん殴りたい」とか結構思われています。だからほむらに蜂の巣にされるなど酷い目に会わされると「QBざまぁ」と言われたりするんですよね。二次創作でもそうしたものが沢山あって、それが笑いに繋がっています。

このQBが酷い目に会わされることがギャグとして通用するのって考えてみると凄いですよね。たとえ嫌な奴であってもあまりに理不尽に暴力を振るわれたりすると、視聴者側もちょっと引いてしまったり同情してしまいギャグとして見れません。例えば「ドラえもん」のジャイアンスネ夫なんかは意地悪をして、のび太に復讐されることが何度もありますが、あれも復讐が行き過ぎてしまえば笑えずに逆にのび太が悪い奴に見えることもあります。

それは人間には他者に対する共感能力があり、酷い目に会わされる相手の気持ちを考えて同情しまうからです。これがあるからいじめは駄目だとか、他者に対して思いやりのある優しい人間になれる。話を戻しますが相手の気持ちを考えてしまうから理不尽な暴力を嫌悪してしまうのですが、QBは感情が無いと自己申告しているのでQBの気持ちなんて無視しても心が痛みません。

何匹殺したところでQBは無意味に潰されると勿体無いとしか思わないので、こちらも躊躇わずに弄って笑い者にすることが可能です。二次創作や公式問わずあれだけ酷い目に会わされながら、それを笑いに転化するQBの姿はまさにコメディアン。あんなの誰にでも出来ることじゃないよ。