アニメごろごろ

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小説家になろう作品を書籍化する時の落とし穴

小説家になろうに投稿されていた作品が毎月10作品以上出版されています。書籍化する前から知名度がそれなりにあるこれらの作品はそこそこ売れるので、各出版社は書籍化しようと次々に手を出しているんですけど、個人的にはこれを続けているとそこそこのヒット作品は出せても、大ヒット作品は生まれ難いのではないかなと思っています。

書店に置ける書籍数には限りがあるので、小説家になろう作品ばかりが並べられると、それ以外の作品を出版して書店に並べる余裕が減ってしまいます。小説家になろう作品がどれも「魔法科高校の劣等生」や「ログホライズン」や「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」や「ナイツアンドマジック」並に売れるのであれば、それでも問題ないですけど現実はそうではないですよね。

まあそれでも半分以上のなろう作品は平均的なプロの作品よりは売れているみたいなので、それで十分ではないかという意見も当然あると思いますが、それはなろう作品以外を犠牲にしてでも出版する価値があるのかは微妙なところだと思います。

まのわ 魔物倒す・能力奪う・私強くなる (このライトノベルがすごい! 文庫)

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書籍化されるなろう作品は100万字超えの作品も多く、それらのWEB掲載分を書籍にするだけで6巻程度は簡単に出せてしまいます。そうした作品を打ち切らずに物語が綺麗に終わるところまで書いて出そうとすれば、10巻や20巻になる作品は決して珍しいものではないでしょう。

30巻越えるつもりで書いてる作者も中にはいますからね。そこそこ売れる作品がそれ程の冊数出せるのは出版社にとって嬉しい部分もありますが、こうした作品が増えてしまうと書店の棚がそれらで埋まってしまい、大ヒットする可能性を秘めた新しい作品の出版が困難になります。

新しい作品を出したところで失敗する可能性の方が圧倒的に高いのですが、それでもこれをやらなければ大ヒット作品が生まれるのが何年先になるのか分かったものではありません。週刊少年ジャンプの10週打ち切り並にサイクルを早めろとは思いませんが、ある程度はやらなければならないと思います。

微妙な売上の作品を打ち切っては新しい作品を出すことの繰り返しはレーベルにとって必要不可欠。しかしこれは100万字を超えるなろう作品ばかりを書籍化しているレーベルには難しいのではないかなと思います。別に作者の意に反して強引に打ち切れますが、それをやるとなるとレーベルの評判は落ち、今後良質な小説家になろう作品をスカウトすることに支障が出ます。

大人気作品であれば複数のレーベルから書籍化の誘いがあるので、平然と打ち切る様な待遇の悪いレーベルを好んで選びめせん。けれど悪い噂が出るのを恐れて100万字を越える長編を打ち切らないでいると新しい作品を何時までも出せないという事態に陥る。なろう作品に頼ったレーベルはこのことで今後悩むことになるのではないでしょうか。