アニメごろごろ

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異分子同士の出会いが世界を変える「ドリフターズ」

ドリフターズ 1 (ヤングキングコミックス)

ドリフターズ 1 (ヤングキングコミックス)

異世界召喚ものでは主人公と異世界人の価値観の違い、主人公という異分子が世界に与える影響、元いた世界に戻るのかどうか、何故異世界に迷い込んだのかについて触れられる場合が多いです。「異世界迷宮の最深部を目指そう」では平和な日本に住んでいた主人公が異世界での奴隷の扱いに嫌悪感を抱き、「犬夜叉」では日暮かごめが愛する犬夜叉のいる戦国時代と元々の居場所であった現代のどちらで生きるか葛藤しました。
ここをどう料理するのかが異世界召喚ものとしての完成度を左右する重要なポイントになるのですが、このうち異分子が世界に与える影響を見事に表現しているなと感じたのが平野耕太先生の「ドリフターズ」ですね。

「漂流者とはつまり技術の渡来者であると同時に思考の差異者だ」

異世界召喚ものの魅力を非常に捉えていたなと思うのがこの台詞。
異世界に召喚された漂流者は地球の様々な時代の様々な地域から集められているので、当然所有している技術も知識も価値観も異なります。
例えば異世界人であるオルミーヌは石壁を作り出す呪文を防御に用いるだけでしたが、好戦的で戦闘の専門家である島津豊久は石壁を突撃の為の発射台として用い、ハンニバルは石壁を複数出現させ足場として用いて戦場での移動手段にします。これ以外にも織田信長なんかは鍛冶の得意なドワーフを仲間に引き入れて鉄砲を量産させて兵力を強化。ワイルドバンチ強盗団からガトリング砲という強力な兵器の存在を聞かされれば、それを生産して自分の生きていた時代には行えなかった戦術を新たに編み出そうとします。
思考の差異者である彼らの出会いがそれまでの技術や戦術に革命を起こす。鉄砲伝来が日本における戦争のあり方を変えたように漂流者が世界を急進的に変容させる様は、歴史の転換期を目撃しているようで非常に心躍ります。