アニメごろごろ

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イラストレーターは変なペンネームでも許される

最近人気のライトノベルイラストレーターはぽんかん8、カントク、白身魚と人名ととても思えない名前にしている方がいますよね。漫画家や小説家にはこんな奇妙な名前にしているのは2割もいないでしょう。10年前には日向悠二さんとか緒方剛志さんとかイラストレーターにももっと普通の名前の方が大勢いたんですけどね。こうなる理由の一つとしてイラストレーターの評判がネーミングセンスに左右されない事が影響しているのではないでしょうか。

イラストレーターの仕事は小説で描写されている事柄をイラストとして表現する事です。自分で一から作品を作り上げるではなく、既にある小説の文章を元に作り上げるので、そこには作者の思想が入り込む余地は殆んどありません。巨乳キャラが好きであるとかそういう趣味程度はイラストに反映される可能性はありますが、基本的には頼まれた仕事をこなすだけで自己表現は行いません。

ここら辺は芸術家よりも求められた仕事をしっかりとこなす職人に近いものがありますね。この作品から作り手の思想というか人となりの見えない仕事では、個人と作品を結び付けて評価することが難しいので、純粋にその技術だけで評価される傾向にあると思います。

漫画家や小説家のような言葉を用いて物語を作る職業では、作者の思想が感じられやすいのでこうはなりません。感じられやすいというよりは読者が勝手に作家の思想を感じ取るといった方が正しいかもしれませんね。キャラの語る思想が作者のそれと同じであると読者が思い込むことは時々あるみたいですから。

「SAO」のあとがきで川原先生が、菊岡が語る政治的思想は作者のものとは別ですとわざわざ述べるあたり、そういう誤解は珍しいものでもないみたいです。まあキャラの主張が作家のものと同じであるかは、ここではどうでも良いので無視して構いません。重要なのは作家の思想や願望といったものを読者は物語から想像するということ。

ハーレムものを描いている作家はモテない人間だとか、能力バトルものを描いている作家は中二病だとか読者は勝手に考えるわけです。商業作家であれば基本的に読者に向けて書いているので、作品に個人の思想や願望を持ち込んでいると決まってはいないのですが、そうは思われないことが多々あります。

実際物語を通じて読者にメッセージを伝えたい作家も沢山いますし、作品と作家が切り離されていないのは事実でしょうから、こうした批判は免れられないと思います。イラストレーターであればこの様に作品批判から人格批判にまで繋がる事は少ないでしょうね。イラストから性癖は見えても思想までは見えてこないものですから。

物語を作る人間は読者から人格まで見られてしまう。こうした状況にいる中で名前を変なものにすると、そこも評価の対象になってしまいます。変な名前にしている作家だから作品もつまらないだろうと編集者や読者に思われるかもしれません。それを避ける為に無難な名前にするのではないでしょうか。アマチュア時代はふざけた名前で小説を投稿していたのに、プロになった途端に改名する作家がいるのもそれが要因の一つだと思います。

今は「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」等の文章系タイトルにすると、それだけで内容もつまらないと先入観を持たれる時代ですからね。作家の場合はペンネームを読者から叩かれない様に無難に人名の範囲内にした方が安全なのかもしれません。そうした縛りが無い為にイラストレーターの場合は変なペンネームが増えるのではないでしょうか。

ところでこのイラストレーターと小説家でペンネームの方向性が違う状況は、ある作品に触れた時に読者が両者の名前を逆にして覚える可能性を減らすのに貢献していると思うのですが、実際のところはどうなのか気になっています。

taida5656.hatenablog.com
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