狡噛と槙島の物語としては綺麗に終わりましたが、シビュラシステムをどうするかについては結局答えは出ずに投げっぱなしになってしまいましたね。まあ２クールでは尺的にシビュラシステムとの決着はつけれないでしょうけど。以下考察等を書いていますが、結構説明とか省いているので何が言いたいのか分かりにくいかも。意味不明で伝わらなかったらすみません。
２クール目のED「All Alone With You」について
EDの映像は朱メインなので歌詞の方も朱の気持ちを表現している…と深く考えずに聴いていた時はそう思っていたのですが、よく聴いて見ると全然そんな事はないですね。解釈には色々あると思いますが、私としては少なくとも朱の歌ではないと思いました。というのも歌の「あなたと行く どんな罪も背負ってあげる 道なき道を歩いていくの あなたと二人で」という箇所が作中の朱の行動と一致していないからです。
朱は槙島を殺そうとする狡噛を止める側の人間であるので、罪を一緒に背負っていくという事はせずに狡噛に罪を背負わせないようにするはず。また精神的にタフで友人も何人もいる朱は「誰かを愛することなんてできるわけなくってだけど誰かに愛されたくて」なんて寂しい事を考えるタイプにもあまり見えませんしね。そこら辺が歌詞と食い違っていますし、そもそも「All Alone With You」という曲名からして朱には似合いません。
この曲が似合うキャラは誰かと考えると狡噛から孤独な人間と言われ、人間は誰だって孤独であると話していた槙島と考えるのが自然だと私は思います。そう仮定すると納得出来る箇所が多く、例えば「その手が 汚れてしまったとしても 愛してほしい 私のこと」は狡噛が自分を殺すことで犯罪者になったとしても自分を見て欲しいという意味に取れます。歌詞の至るところから「あなた」に対する強い執着心や依存性が見えますが、そこなんかは槙島の狡噛に向ける感情に近いものがありますね。
ただ槙島の歌とすると一部解釈に問題が発生するんですよね…主に「私に触れてキスをして もっとめちゃくちゃに したっていいんだよ？」の部分で。これを素直に受け取ると槙島と狡噛の関係が凄くホモホモしい事になってしまう。この作品では弥生や王陵璃華子とそっち系の人間の描写が多いので、男同士でもそう変でもないかもしれません。朱曰く「彼らは誰よりもお互いを理解し、相手の事だけを見つめていた」ですしね。
狡噛と槙島について
こう言ってはなんですが「Fate/Zero」の切嗣と言峰と違って相思相愛でしたね。あちらは理解し合っていた訳でもなくすれ違っていましたし、最終的に切嗣は言峰なんか眼中にない状態で言峰は切嗣の姿に失望してしまっていました。それに比べると幸せな終わり方をしたと思います。槙島は自分の存在が他の誰かにとって代わられてしまうスペアなどではなく、代わりがいない人間であるとその唯一性を狡噛に肯定してもらった訳ですし。誰もが誰かのスペアでしかないこの退屈な世界の中で、槙島にとって狡噛は自分を殺せる唯一の人間。狡噛にとって槙島の代わりがいなければ、槙島にとって狡噛の代わりもいない。人生の全てをかけて必死に追い求めてきた相手が自分にとって掛け替えのない存在ってある意味では素敵な関係ですよね。
槙島が朱を殺さなかった理由について
これは恐らく最初に出会った時と違い、朱が自分の意思で行動出来る人間に成長したからでしょうね。槙島は自分の意思で行動出来る人間…特にオリジナリティのある人間を評価する反面、そうではない人間には非常に厳しく平気で殺そうとしてきます。王陵璃華子や御堂将剛の時なんかはそれが顕著でした。そんな槙島が朱をあえて殺さなかったという事は、朱は槙島が評価するだけの何かを持った人間に成長したからだと思います。
初めて槙島と出会った時の朱は最後までドミネーターを手放せず、友達を救う為に猟銃によって犯人を殺せず、槙島にとって朱は何の価値もないシビュラシステムに管理されている人間の一人に過ぎませんでした。しかしシビュラシステムの真相を知った朱はシビュラシステムを完全に否定するのでもなく、シビュラシステムを完全に肯定して言いなりになるのでもなく、狡噛を犯罪者にしない為に利用しようとしました。
槙島が朱の真意をどの程度理解していたか分かりませんが、そうした自分の意思に基づいた行動が評価されたのでしょう。いまいち分からなかったんですが、槙島は朱から奪った拳銃の残弾が０になっていた事から朱の真意に気付いたんですよね。その直前までは朱を自分と狡噛のゲームを邪魔するシビュラの犬と捉えていたみたいですし。あそこで操られる犬ではなく自立した人間であるとそう判断したのではないかと。
「PSYCHO-PASS」槙島さんはチェ・グソンの事が好きなのだろうか - アニメ見ながらごろごろしたい
